2013 Fiscal Year Research-status Report
記述に根ざした技術の現象学的研究:技術の記述的探求と批判的視点の確立
Project/Area Number |
25370032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (50398989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
本田 康二郎 金沢医科大学, 教養部, 講師 (40410302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 技術哲学 / 現象学 |
Research Abstract |
平成25年度は(1)リスボンで開催された技術哲学会(Society for Philosophy and Technology)に参加し、金光をオーガナイザーとして、直江清隆、本田康二郎でセッション「Descriptive Inquiry of Technology: Confronting Perspective About Fukushima」を組んでそれぞれ研究発表を行った。これによって、これまでの記述的探求の意義が確認できたが、日本の状況がいまだ十分には知られていないことも明らかになり、今後も日本の技術を記述的に探求し、それを世界に発信していく必要性が再認識された。 また、(2)日本現象学会において、鈴木俊洋をオーガナイザーとして、寺本剛、金光でワークショップ「科学技術の発展と抑制─現象学には何ができ、何をするべきなのか?」を開催した。ハンス・ヨナスの技術論、世代間倫理、フェルベークの媒介理論などを検討したが、今後理論的考察を進めるために必要な視座を得ることができた。 さらに、(3)全メンバーで研究会を2回東北大学で開催して、技術に対する批判的視点の考察を進めるための予備的研究を行った。ここでは、オランダの技術哲学の議論を検討することの必要性が確認され、次年度オランダの技術哲学者らとワークショップを開催することの可能性が検討された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画とした、(1)福島第一原子力発電所事故に関する記述的探求を進めて国際学会で発表すること、および(2)技術に対する批判的視点の考察を進めるために、技術がわれわれの世界や行為を規定するあり方について、従来の技術哲学がどのような視点を提供しうるのかを、定期的に研究会を開いて検討すること、という目標がおおむね達成できたと考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は技術の記述的探求と理論的考察の架橋を試みる。具体的には、(1)職人の営みなどの記述的探求を本格的に進める。当年度は、原発事故に限らず、技術の営みを言語化・明示化することを目指す。特に、労働現場の作業員のインタビューや現場の見学などを通して、職人的技能について考察する。 次に(2)記述的探求と技術への批判的視点の考察を進める。前年度の理論的研究を踏まえながら、これまでに明らかになった記述的探求の成果が技術への批判的視点を確立しようとする際に持ちうる意義について検討する。 最後に、(3)オランダにおいて技術哲学に関する国際ワークショップを開催すると同時に技術哲学に関連した教育の調査を行う。この調査は最終年度に向けた予備調査ともなる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究会における効果的な議論によって、研究書の購入が不要となったため。 当該年度の研究を進めるために必要な研究書の購入にあてる。
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Research Products
(10 results)