2013 Fiscal Year Research-status Report
ベルリン工芸博物館開館時の展示方法一考-源泉としてのジオラマとグロピウス一族
Project/Area Number |
25370201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The National Museum of Modern Art,Kyoto |
Principal Investigator |
池田 祐子 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 主任研究員 (50270492)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グロピウス / シンケル / ベルリン / ジオラマ / 視覚文化論 |
Research Abstract |
当該年度においては、研究計画に基づき、画家カール・グロピウスについての基本調査を行った。 カール・グロピウス自身に関する単独文献はほとんど存在しないため、作家の家族背景などの調査に際しては、甥の建築家で、本研究の研究対象のひとりでもあるマルティン・グロピウスに関する複数の文献を比較検討することで情報を得ることとした。(例:Arnold Koerte. Martin Gropius, Leben und Werk eines Berliner Architekten, 1824-1880, Berlin 2013ほか) カール・グロピウスは画家として、建築家・画家カール・フリードリヒ・シンケルのとりわけ舞台芸術の仕事、さらにはパノラマ画に協力している。それがどのような類のものであったか、シンケル関係資料から情報を得ることとした。(例:Ulrike Harten. Karl Friedrich Schinkel, Lebenswerk, Die Buehnenentwuerfe, Muenchen/Berlin, 2000ほか) カール・グロピウスが設立し、後にベルリン工芸博物館(当初の名称はドイツ産業博物館)の開館時の会場となる「グロピウス風ジオラマ」についての基本情報を収集するとともに、いわゆる「ジオラマ」が当時の社会でどのような位置づけであったのかを知るために、当時の視覚(芸術)文化に関する論考を収集・検討した。(例:Sehsucht, Das Panorama als Massenunterhaltung des 19. Jahrhunderts, Ausstellungskat., Bonn, 1993ほか)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カール・グロピウス自身については、マルティン・グロピウスに関する詳細な研究書からある程度情報を得ることができた。シンケルとの関係についても同様である。ただし、カール・グロピウス自身が手がけた「グロピウス風ジオラマ」については、極めて情報が少なく、これまでの資料から得られる以上の具体的な新知見が見いだせずにいる。ただし、「ジオラマ」を工芸博物館の初代会場とした時代における、展示にまつわる視覚文化の状況や展示物をめぐる産業改革の状況については、様々な資料からある程の視座を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「グロピウス風ジオラマ」について引き続き情報収集を行うとともに、平成26年度は、研究計画に基づき、建築家マルティン・グロピウスとベルリン工芸博物館について調査を行う。まず、ベルリン工芸博物館設立時におけるマルティン・グロピウスの関与のあり方を調査・整理し、次に工芸博物館建物設計時のグロピウスの考え、および展示や展示作品にまつわる意見を調査していく。その際、昨年度まで改修工事中でアクセスできなかったベルリン工芸博物館の図書室での、当時の写真資料に関する調査を重視したい。また、グロピウスとベルリン工芸博物館館長ユリウス・レッシングとの関係についても、改めて考えてみることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究のため必要な雑誌のバックナンバーを、当該年度中に取得できなかったため。 引き続き当該資料を探し、購入する方向で調整する。
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Research Products
(2 results)