2013 Fiscal Year Research-status Report
全国書房ネットワークの総合的研究─戦時下~占領期における文学と出版メディア─
Project/Area Number |
25370215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
日高 佳紀 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00335465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 貴子 同志社大学, 文学部, 准教授 (20388036)
増田 周子 関西大学, 文学部, 教授 (30294664)
天野 知幸 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (40552998)
大原 祐治 千葉大学, 文学部, 准教授 (40554184)
疋田 雅昭 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科, 准教授 (70469477)
吉川 仁子 奈良女子大学, 人文科学系, 講師 (90243352)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本文学 / 近現代文学 / 出版メディア / 関西文壇 |
Research Abstract |
研究全体の[基礎段階]として位置づけた今年度は、計画どおり以下2つの軸で研究を進めた。 (1)全国書房の出版物を網羅したデータベース構築のための調査として、国立国会図書館、神奈川近代文学館、大阪府立図書館など大都市の公共図書館のほか、メンバーで分担して、地方大都市圏の公共図書館や大学図書館の調査を進め、ネット上にメンバーで共有できるサーバーを設置して情報共有と整理を行い、全国書房の出版状況の全体像の把握に努めた。今年度の調査で全国の約半分のエリアの図書館蔵書の調査を終えたことになるが、次年度も引き続きこの調査を継続して進める必要がある。 (2)年4回の研究会議を、6月9日(同志社大学)、11月10日(奈良女子大学)、1月26日(同志社大学)、3月8-9日(奈良教育大学)にそれぞれ開催した。各回では、(1)の調査の中間報告とその点検を行うとともに、研究メンバー個々の研究テーマの設定およびその中間報告を重ねた。また並行して、6月会議では研究協力者の浅岡邦雄氏による「戦前期の出版検閲と法制度」の講演と出版史上における本研究プロジェクトの意義および研究方法についての助言を受けた。11月会議では、研究分担者の吉川仁子による研究発表「池田小菊─全国書房の草創期にかかわった女性作家─」および池田小菊関連の奈良女子大学所蔵資料の提供を受け閲覧した。3月会議では研究協力者の浦西和彦氏による「関西出版界の事情について」の講演と、関西出版界における全国書房の位置に関わる助言を受けた。 以上の研究を通して、個々の研究テーマの絞り込みと方向性についての議論を重ね、次年度への展開を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の全体の方向性として、大きな遅れは生じていないが、全国書房の出版概容を把握するための図書館調査に予想以上に時間がかかっており、当初の予定より遅れが生じていること、さらにまた、研究協力者とのスケジュール調整が不調に終わり、予定していた講演・研究助言を1回分次年度に送ることになったため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
図書館調査の遅れについては、今年度の経験を通して作業効率の向上が望めるため、次年度の早い段階でデータベースの構築を完成させることが可能である。また、全国書房が刊行していた雑誌『新文学』については、内容のスキャン作業を行い、研究メンバーでの情報を共有しながら個々の研究テーマへの接続を試みる予定である。これらの作業を通して、メンバー個々の研究テーマを早期により具体化し、内容の深化に努めたい。 また、平成25年度に講演・研究助言を予定していた研究協力者とは、メンバー個々の研究がある程度進展した段階で開催する予定のワークショップにおいて研究助言を受ける方向で合意を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全国書房出版概容の図書館調査の遅れに伴う旅費および関連経費の未支出分、および、研究協力者の一人とスケジュール調整不調による講演・研究助言計画の次年度開催予定のワークショップへの変更によって謝金および旅費の支出がなされなかったため。 図書館調査を次年度も継続して行い、データベース構築後の資料購入および資料のデータ化作業において使用する。また、現物確認のための旅費として使用する。 また、研究協力者を次年度開催予定のワークショップに招聘し、研究助言の機会を得る。
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