2013 Fiscal Year Research-status Report
倉敷市蔵「薄田泣菫文庫」の調査及び関連書誌の作成と分析
Project/Area Number |
25370227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
庄司 達也 東京成徳大学, 人文学部, 教授 (60275998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 宏行 青山学院大学, 文学部, 教授 (60233756)
掛野 剛史 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (00453465)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本文学 / ジャーナリズム / メディア / 地域 / 文学者 / 読者 / 書簡 / 新聞小説 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題の初年度としてこれまでの活動実績をベースにしたことで、より多面的に多層的に研究活動を展開し、一定の実績を残すことができた。また、薄田泣菫を郷里の誇る偉人の一人として検証活動を積極的に行っている薄田泣菫顕彰会と薄田泣菫文庫を持つ倉敷市とのそれぞれの連携をこれまで以上に緊密なものとし、大きな成果を残すことができた。 具体的には、1,700点を超える資料体である「薄田泣菫文庫」の中核を為す薄田泣菫宛ての書簡類の整理を進め、これまでに作成したデータベースを活用し、翻刻、注釈、解析の作業をそれぞれ飛躍的に進めた。これは、資料体の有する性格を最大限に活かしたもので、本文庫の有する研究上の意義を重んじる考えから、優先的に行った作業である。平成25年度は、主として作家たちからの書簡を素材として前述の作業を行い、協力体制を整えたことで、その成果としての倉敷市編著『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 作家篇』の上梓に大きく貢献できた。 また、上記の作業にかかわっての倉敷市への調査を当初の計画にしたがい、8月、12月、3月の3回にわたって行った。また、8月の調査の際には、倉敷市が主催した文学座談会「薄田泣菫文庫の調査研究から見えてきたこと」に、研究代表者の庄司達也と研究分担者の掛野剛史が参加し、これまでに調査によって明らかとした研究上の成果について報告を行った。 なお、この文学座談会の様子は、『山陽新聞』、『毎日新聞』など複数のメディアに記事として取り上げられ、当日会場に来られなかった多くの市民にも広く知られることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、これまで、本研究課題がその調査の対象としている「薄田泣菫文庫」の所蔵者である倉敷市、薄田泣菫を地元倉敷で顕彰している薄田泣菫顕彰会との連携を持続させ研究活動を進めてきた。本年度もまたこの両者との関係を良好に保ち、且つ倉敷市主催の行事などにも積極的に参加するなどし、協力体制を保持してきた。その結果、当初に予定していた調査と解析などを行う資料体については、年度内には概ねその作業を終えたため、年度末には次年度に向けての準備を始めることができた。 また、倉敷市によって刊行された『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 作家篇』は、本研究課題の構成員が執筆陣の一翼を担い、これまでの研究成果の公表を企図したものでもある。当初に予定された内容を十分に具現化し、その水準も一定の点に到達していることからも、今年度の研究課題の研究の目的の達成度を、上記の結果と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題がその研究の対象としている倉敷市蔵「薄田泣菫文庫」には、1,700点を越える資料が所蔵されている。特に、直近の課題として設定している「薄田泣菫宛書簡」の整理、翻刻、解析などの一連の作業は、初年度の作家を対象としたものから平成27年度に予定している詩歌の実作者を中心としたものに移行している。昨年度実績を踏まえ、問題点を再検討しながら、今年度末に予定している倉敷市による『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 詩歌人篇』の刊行に向けての協力体制を整えつつある。 また、これまでの研究の成果を公開する手段として、倉敷市との共催による市民向けシンポジウム、或いは講演会などを計画している。また、報道機関と連携して広くその研究成果を公開する方途も模索中で、実質的な話し合いなども行いつつ、その実現に力を傾けている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度内に実施された倉敷市「薄田泣菫文庫」への調査について、研究分担者の1名について不参加となった回があった。また、購入を予定していた書籍、資料について、さらにその内容を精査する必要が生じたため、次年度以降に購入する方向で検討をした結果である。 本年度以降に予定されている資料、書籍などの購入の費用として使用する。また、倉敷市「薄田泣菫文庫」の調査費用、或いは講師の招聘など研究成果の公開のための事業を行う際に使用する。
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Research Products
(4 results)