2014 Fiscal Year Research-status Report
倉敷市蔵「薄田泣菫文庫」の調査及び関連書誌の作成と分析
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25370227
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
庄司 達也 東京成徳大学, 人文学部, 教授 (60275998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 宏行 青山学院大学, 文学部, 教授 (60233756)
掛野 剛史 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (00453465)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本文学 / ジャーナリズム / メディア / 詩歌 / 地域 / 文学者 / 読者 / 書簡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の研究実績を踏まえ、着実な研究活動を進め、更なる成果を残すことに努めたが、当初に予定していた通りの実績をあげることができた。また、これまでに構築してきた薄田泣菫顕彰会、及び倉敷市との連携をさらに深め、研究課題の遂行に努めた。その結果として、倉敷市の編纂した『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 詩歌人篇』(八木書店)の刊行に大きく寄与することが叶った。 岡山県倉敷市の所蔵する「倉敷市 薄田泣菫文庫」の資料約1,700点のうち、詩人、歌人の発信した書簡の整理を行い、既に作成したデータベースを活用し、入力情報の確認を行いながら、翻刻、注釈、解析の作業を進めた。このことにより、薄田泣菫の歌人としての文学史上での位置づけの再確認を行えたことに加え、詩人らを中心とするネットワークの中核に薄田泣菫が存在していたことを資料面から証することができた。また、明治期に於ける関西の詩壇と東京での詩壇との関わりの一端を明らかにすることもできた。 上記の研究課題を遂行するための倉敷市に於ける検討会議と資料調査の実施は、4月、6月、8月、11月、3月の5回を数えた。このうち、4月は前年度に刊行した『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 作家篇』(八木書店)の刊行報告会を兼ね、3月は、前記『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 詩歌人篇』の刊行報告会を兼ねるものであった。それぞれの報告会は、地元紙の『山陽新聞』、『読売新聞』、『産経新聞』、『毎日新聞』の各紙で大きく取り上げられた。また、8月の調査の期間中、倉敷市との共催で「文学座談会」を開催し、研究グループの全員が地元研究者と共に登壇し、一般の市民に向けての成果報告を行った。この催しについては、地元紙の『山陽新聞』、『産経新聞』、『読売新聞』などで紹介された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
約1,700点を数える資料を有する「倉敷市 薄田泣菫文庫」は、当代に活躍した文学者、文化人らから薄田泣菫に宛てられた書簡類が多く残されている。本研究課題は、これらの資料の整理を行い、データベースを構築することをその目的の第一としているが、書簡本文の翻刻、注釈、解析の作業は当初の予定の通りに詩人、歌人については終えており、次の文化人関連の書簡へと移行している。 また、次年度(平成27年度)に実施する活動内容についての倉敷市との協議も順調に進んでいる。 なお、倉敷市の刊行した『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 詩歌人篇』には、本研究課題の構成員も執筆陣の一翼を担っており、倉敷市の文化施策に大きく貢献した。 以上のことから、上記の結果と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
倉敷市が刊行を継続的に行っている『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集』について、本研究課題は平成25年度には「作家篇」の刊行に、平成26年度には「詩歌人篇」の刊行に協力してきたが、平成27年度は「文化人篇」の刊行に向けて協力体制を整えてゆく。本研究課題はこのことを研究活動の基軸に据えて展開されているが、最終年度にあたる本年度は、本研究課題に関わった構成員らが終了後に行われるべき新たな研究課題、研究活動を具体的な形で設定できることを目指している。本研究課題が明らかとした地平から新たに出発すべき課題を模索することを各自に課してゆくことで、本研究課題の発展的継承を達成したい。
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Causes of Carryover |
購入の際に端数が生じたたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は、消耗品などに組み込み、執行することとした。
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Research Products
(4 results)