2016 Fiscal Year Annual Research Report
General study of Ryutei Tanehiko
Project/Area Number |
25370229
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 悟 実践女子大学, 文学部, 教授 (50178729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 柳亭種彦 / 鱸包丁青砥切味 / 大津絵 / 絵本太閤記 / 御誂染遠山鹿子 / 西村屋予八 / 千年飴 / 色摺禁止令 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもを描いた浮世絵を破邪と予祝という視点から論じた。方法は疱瘡絵を分析して画題を確定し、それが子どもの浮世絵とどのような関係を持つか、この問題が種彦の交渉随筆とどのような関係を持つかを明らかにした。 柳亭種彦の合巻処女作である『鱸包丁青砥切味』の刊行事情について、北斎及びその門人の蘭齋北嵩らを含む狂歌グループが板元西村屋与八と交渉を行い、種彦を西村屋に誘ったことを日記の解析から明らかにした。さらに『鱸包丁青砥切味』に役者似顔絵が使用されていることを明らかにした。『古典文学の常識を疑う』(勉誠出版、2017)に「十九世紀江戸文学における作者と絵師・板元」として刊行予定である〈初校出)。 『鱸包丁青砥切味』に大きな影響を与えた文化元年五月十六日の『絵本太閤記』の絶板、及び翌日の色摺絵本の禁令が合巻に与えた影響の研究を行い、この禁令を契機として合巻の絵本化という現象が起きたことを明らかにした。これについては国文学研究資料館第3回日本語の歴史的典籍国際研究集会で発表予定〈2017年7月29日)である。また他の作者への影響については絵入本学会の絵入本ワークショップⅩ(2017年12月9日)で発表予定である。 『還魂紙料』の「千年飴」に関し、種彦が使用した浮世草子の原本を特定し、種彦の交渉随筆のありかたについて明らかにした。これについては『実践国文学』92号(2017年10月刊)に発表予定である。 大津絵の研究を行い、種彦の合巻『御誂染遠山鹿子』が大津絵節の影響の下に成立したこと、種彦の大津絵研究が同時代の大津絵研究とどのように関わっていたのかを明らかにした。
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