2014 Fiscal Year Research-status Report
ダヌンツィオと同時代文化―二十世紀世界文学の翻訳可能性と大衆・社会・政治
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25370339
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村松 真理子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80262062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ダンヌンツィオ研究 / 国際学会招聘 / 成果発表論集 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、前年度に東京大学および京都大学の大学博物館で開催した展覧会・シンポジウムでの研究成果を、その記録および現代のダンヌンツィオ研究の到達点を紹介する研究論文集として刊行するべく、執筆および編集作業を中心に活動した。展覧会の会期にあわせて行ったシンポジウムや特別授業、ギャラリートーク等に多くの研究者の協力を得たが、今回編纂の論集には、展覧会の共催者でダンヌンツィオ研究の国際的中心拠点「ヴィットリアーレ財団」グエッリ財団長の寄稿はじめ、第一線の多くの研究者の寄稿を得た。日本のダンヌンツィオ研究、イタリア近現代文学の研究成果だけでなく、ヨーロッパの芸術文化や同時代日本文学に渡る広い分野の気鋭の研究者が、ダンヌンツィオをめぐって近年の研究成果をまとめる大変意義深いものとなった。 さらに研究代表者は、前年度までに進めてきた日伊を対象とする比較文化的研究と展覧会の成果を、特に日本文学におけるダンヌンツィオ文学の影響と関わりとしてまとめ、「伊日研究学会(AISTUGIA)」年次大会ので開会講演の一つとして発表した。前年の展覧会について強い興味が寄せられ、イタリアの日本文化・歴史・文学を対象とする研究者が一堂に集う同学会でのこの招待講演の機会を得たが、国際的な視野やヨーロッパにおけるアジア研究の視点から多くの意見や感想が述べられ、有意義な研究交流となった。 2014年は第一次世界大戦開戦から100年の節目であったことからも、イタリアに限らず特にヨーロッパにおいて、社会史・文化史研究の視点から多くの国際的なシンポジウム等が行われ、新たな見直しや再評価が試みられている。メディア論と言語芸術論において、ダンヌンツィオという作家の先駆性・政治性・国際性が改めて注目される中、当該研究課題の分野横断的人文学研究の試みへの評価とその意義が、国際的にも確認された1年であったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
展覧会・シンポジウムを開催した前年度までの成果を、平成26年度は論集公刊の編纂と、国際的な学会での発表にまとめることができた。論集については、研究者による協力と寄稿を当初の予想より充実した形で得ることができたが、編纂の作業量が計画以上のものとなり、実際の刊行時期が年度内での予定から平成27年度はじめの時期に若干ずれることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はすみやかに編集最終段階の作業を完成して、まず論集を刊行する。 さらに、当該研究課題の成果を国内および国外で発表公刊する機会を探りつつ、新たに提示されたトピックに関し補完するべき調査研究(ダンヌンツィオの1910年代以降の書簡や日記などの私的な記録と新聞雑誌著書で発表公刊された言説の比較考察、および日本でのダンヌンツィオに関する論評や知識人への影響やつながりについての資料調査等)を進め、論文や学会等での研究発表として公にする準備をする。 当該研究課題および先行の関連課題として行ってきたダンヌンツィオ研究に関する一連の成果をまとめる単著の出版にむけて、具体的な準備と執筆を進める。
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめる公刊予定の論集の編集にあたり、予想された以上に多くの研究者の協力と寄稿を得ることができたため、考えていた以上の必要額を、作業のための謝金や印刷費として全体の予算額の中で見直し、前倒し支払い請求もあわせて行った。ただし、その全体を論集巻頭論文において概観した上で編集作業を実際に行ったところ、計画していた以上の時間を必要とした。そのため、刊行時期が次年度のはじまりに若干ずれこむこととなり、編集の最終過程の作業に要する謝金および印刷費の支払いのために(上記のように前倒しもして)確保してあった金額が、次年度に払うべき使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
印刷費はすでに見積もってあり、その平成26年度途中の見直し案に従って、平成27年度上半期、論集完成時に(編纂の最終過程の作業に関して生じる謝金等とともに)支払う。さらに平成27年度の研究調査と成果発表を当初の計画に従って進めながら、平成27年度分として見積もってきた予算を有効に用いる。
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Research Products
(2 results)