2013 Fiscal Year Research-status Report
近代ロシア文学創成の環境―貴族屋敷(ウサーヂバ)の文化的・社会的ランドシャフト
Project/Area Number |
25370345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
坂内 徳明 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 特任教授 (00126369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 祐介 千葉大学, 文学部, 准教授 (40466694)
金澤 美知子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60143343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウサーヂバ / 文化的・社会的ランドシャフト / 近代文学の創成 / 貴族文化 / 個人書庫 / 庭園表象 / ウサーヂバ文学史 / 文化資源 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ロシアの歴史と文化を考察する上できわめて重要な文化現象であるロシア貴族屋敷(ウサーヂバ)を多角的・多面的に分析・考察することにある。その点から、初年度の平成25年度には、研究の方向性と体制確認を行う予定だったが、「実施計画」に記した所期の目的をほぼ実現したと考えている。具体的には、1)国内の研究分担者二名(金沢美知子、鳥山祐介)と協力者一名(坂内知子)との会合を二度行い、各自の研究方向と全体像に関して多くの議論と意見交換を行った。2)研究代表者と協力者は、2014年3月に短期間ではあるが、ペテルブルグへ出張し、ここでロシアの研究協力者となる二名(N.V.ニコラーエフ、O.N.イリイナ)と真摯な議論を行い、多くの貴重なアドヴァイズを得ると同時に、本研究への全面的な協力を約束してもらうことができた。特に、イリイナ女史は、これまで長年にわたって「個人ライブラリー(文庫、図書室)」研究に携わってきた第一人者であり、かつて貴族屋敷に収蔵され、その後、多くが消滅、一部保存された書籍をウサーヂバ文化史の面から捉え直したいという本研究の特色あるねらいに同研究者が強い関心を示したことは大いに意義深いことである。研究成果としての論文を本研究の報告書に提供してくれるという強い約束を得たことは、本研究のプレステージを高めると考えて間違いない。また、同時期の出張で、3)ペテルブルグ郊外のウサーヂバの一つであるマリーイノの調査を行い、19世紀には貴族(ゴリーツイン家)の所有であった屋敷が20世紀には放置・破壊され、病院として使用、そして現在は復元されて観光地として活用されている現状を確認した。ウサーヂバが過去の屋敷としてだけでなく、現代までの歴史を捉えることで、文化財としての意義を考察する一つのケーススタデイとなることを確信し、本研究全体にとって大きな示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の国外調査が、当初二回実施される計画であったが、結果として一度となった。ただし、この一度の出張が短期間であったにもかかわらず、きわめて多くの情報と成果をもたらしたことは本研究の今後の展開に大きな可能性をもたらしたと考えている。また、研究分担者ならびに協力者との相互協力体制も十分構築されていると確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の第二年度にあたる平成26年度には、研究代表者ならびに国内研究分担者・同協力者によるロシア・ウサーヂバに関する実地ならびに文献調査の計画が用意されている。これは研究全体の大きな進展をもたらすものと考えている。また、ウサーヂバ文化という対象の大きさと関連ジャンルの広範さに鑑みて、可能であれば、日本国内であっても、本研究のテーマと内容に関心を持つ研究者に協力を求め、国内の研究打ち合わせ等に参加を求めることも考えている(例えば、歴史学、芸術学として美術、映画等々)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、平成25年度内に二度の国外調査が予定されていたが、予定の調整がつかなかったために一度の出張となったことから金額の変更を余儀なくされた。 平成26年度は、国外調査の行き先をより精査し、回数を増やした計画とするつもりである。具体的には、ペテルブルグ近郊のウサーヂバであるマリイノの再調査、同じくペテルブルグ近郊のリャボヴォ、モスクワ近郊のウサーヂバとして数箇所を考えている。
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Research Products
(2 results)