2013 Fiscal Year Research-status Report
アルベール・カミュ研究-「暴力」に抗する文学と思想
Project/Area Number |
25370356
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
三野 博司 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90117979)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アルベール・カミュ研究 |
Research Abstract |
申請課題「<暴力>に抗する文学と思想」との関わりにおいて、とりわけカミュの小説『ペスト』をフクシマからとらえ返す作業を行い、人間と不条理の闘いに焦点を当てた。 (1)6月、Philippe Vanney との共編により、『カミュ研究 Etudes camusiennes』第11号(カミュ生誕100年記念号)を編集・発行した。また同号に伊藤直との共著により「日本におけるカミュ受容」(日本語およびフランス語)を発表した。(2)7月、世界の第一線のカミュ研究者が寄稿する "Cahier Herne, Albert Camus"に論文 "La Peste, La Force de l'Alegorie" を発表した。(3) 8月、科研費によりフランスへ出張し、8月17日‐24日、フランスのスリジー・ラサルで開催されたカミュ国際学会において、シンポジウム "Camus et le Japon, le Japon et Camus" のパネラーとして発表を行うとともに,世界各国から集った60名のカミュ研究者との情報交換を行った。さらに25日-27日、クレルモン=フェランにおいて,第二次大戦中のカミュの活動に関しての現地調査を行った。(4)11月1日-4日、アルジェリアのオランにおいて、1940-1941年時代のカミュに関しての現地調査を行うとともに、モスタガネム大学において "La Peste apres Fukushima " と題した講演を行った。(5)6月国際基督教大学、12月キャンパスプラザ京都において、日本カミュ研究会代表として2回の研究会を主催するとともに、参加者との情報交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二度の海外出張により、現地調査および研究者との情報交換を行い、資料を収集した。現地調査では、フランスのクレルモン=フェランとアルジェリアのオランを訪れて、カミュの足跡をたどり、研究の進展に必要な情報を得た。またスリジーで開催された国際カミュ学会には、世界各地から60名の研究者が集合して、貴重な情報交換を行う機会となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、カミュの遺作である Le Premier Homme の分析を進めて、この作品の主題をカミュの初期作品からたどりなおすことを試みる。得られた成果は、平成27年度刊行予定の『カミュ研究 Etudes camusiennes』に発表する。平成26年度のフランスへの出張は2回を予定しており、国際カミュ学会理事会に出席すると同時に、フランスをはじめとする各国の研究者との情報交換に努める。
|
Research Products
(5 results)