2013 Fiscal Year Research-status Report
19世紀フランスの文化事象としてのブルターニュの民謡収集
Project/Area Number |
25370362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
梁川 英俊 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20210289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フランス / 民謡 / サルヴァンディー / フォルトゥール / ブルターニュ / ラヴィルマルケ / 19世紀 |
Research Abstract |
2013年度は初年度なので、今後の研究を進める上で不可欠な基本文献の収集と調査に力を入れた。まず必要な書籍を購入して読解・分析を進める一方で、文献調査のために渡仏し、19世紀フランスのロマン主義作家たちと民謡との関連、およびこれまで十分な文献収集ができなかった19世紀に行われた二つの調査、すなわち文部大臣サルヴァンディーとフォルトゥールの呼びかけによって行われた民謡調査の文献について、パリのフランス国立図書館において集中的に文献収集および調査を行った。さらにこれらの調査の影響によって、その後フランス各地で出版されることになった民謡集および関連文献をリストアップして収集した。 またこれら国家レベルの調査とブルターニュにおける調査との関連を探るべく、レンヌ市立図書館の郷土資料館において、ブルターニュの民謡収集に関連する文献を網羅的に調査し、特に代表的な収集家であるラヴィルマルケやリューゼルに関する文献で、これまで閲覧する機会のなかった資料を写真等によって収集した。 さらに民謡研究者で歌手でもあるヤン・ファンシュ・ケメネール氏、および彼が活動する音楽グループ「バルザス」のメンバーから、ブルターニュ民謡の現状に関する情報と調査における有益な示唆を得た。またレンヌ第2大学ブルトン語科主任教授のエルヴェ・アルビーアン氏には、ブルトン語教育における民謡の使用に関する有益な情報を得た。さらにレンヌ第2大学教授で民族音楽学を講じるイブ・ドフランス教授からは、文献調査全体に関わる助言を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集に関しては、民謡収集に関係する調査に関しては成果が多く、期待通りの文献を集めることができたと考えている。ただ、19世紀フランスのロマン主義作家の民謡への関心と18世紀から19世紀にかけて出版された円卓物語関係の資料については、まだ十分な調査ができておらず、来年度以降の課題となろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、現在十分な資料が揃っている国家レベルの民謡調査とブルターニュにおける収集との相互的影響関係を分析し、その成果をできるだけ早くまとめることを最優先としたい。ロマン主義作家たちの民謡への関心や円卓物語の起源に関する論争に関しては、このまとめの作業と並行して資料の収集に努めたい。
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