2014 Fiscal Year Research-status Report
19世紀フランスの文化事象としてのブルターニュの民謡収集
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25370362
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
梁川 英俊 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20210289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブルターニュ / ウェールズ / バルド / 円卓物語 / ラ・リュ神父 / ラ・ヴィルマルケ / 民謡 / ブレイス(ブルトン)語 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、当初の計画ではまず昨年度の研究成果を論文にまとめる予定であったが、研究目的のひとつであった19世紀における「円卓物語」の復活について調べていく過程で、予想もしなかった重要な発見があったため、その調査研究と成果発表をすべてに優先させることにした。結果として、9月に予定していた海外調査を中止し、代わりに英、仏、ブレイス(ブルトン)語の文献の収集・調査・読解に多くの時間を費やすことになった。 研究成果の一部は、所属学科の紀要に論文としてまとめたほか、日本ケルト学会研究大会、日本ケルト学会東京研究会および日本ケルト学会九州研究会で発表し、いずれも高い評価を受けた。内容としては、ラ・ヴィルマルケが『バルザス=ブレイス』の冒頭に置いた「グウェンフランの予言」を関して、5世紀のバルドの実在等をめぐる問題等が中心となったが、背景にあるウェールズのバルドたちの再評価という現象や、当時フランスで盛んになっていた「円卓物語」の起源をめぐる議論に光を当てることにより、これまで不明点が多かった青年期のラ・ヴィルマルケの思想形成におけるさまざまな要素を発掘・整理・解明することができた。 2015年はラ・ヴィルマルケ生誕200年の節目の年ということもあり、日本ケルト学会九州研究会でさらに2回の発表を行うほか、10月に慶應義塾大学で開催される日本ケルト学会研究大会において「円卓物語」をめぐるシンポジウムを企画している。 今年度に明らかになった研究の方向性は、今後他のケルト諸地域の研究家との共同研究の可能性を拓くものであり、来年度はアイルランドやウェールズを専門とする研究者と定期的に交流する場を設けて、さらに研究を深めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書を作成した時点では考えてもいなかった重要な発見が幾つかあり、今後の研究の発展に対する期待が高まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年はラ・ヴィルマルケ生誕200年に当たるので、10月に開催される日本ケルト学会研究大会で記念シンポジウムを行う。また日本ケルト学会九州研究会で計4回の発表を行うほか、中央大学人文科学研究所のケルト研究会においても発表を行う予定である。さらに所属学科の紀要に連載中の「グウェンフランの予言」に関する論文を年内に完結させる予定である。11月に文献調査等のため渡仏を予定しているが、それまでは文献の調査・読解を中心に現在行っている研究を継続するつもりである。
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Causes of Carryover |
今年度分の予算で購入する予定で海外発注した書籍の一部が、年度内に届かなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に海外発注した分の書籍を購入する。
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