2013 Fiscal Year Research-status Report
想起する帝国―ナチス・ドイツにおいて想起された「過去」の研究
Project/Area Number |
25370388
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
溝井 裕一 関西大学, 文学部, 准教授 (60551322)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 裕史 学習院大学, 文学部, 助教 (60637370)
齊藤 公輔 関西大学, 東西学術研究所, 研究員 (90532648)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 集合的記憶 / ナチス / 国家社会主義 / コーパス / メディア / 媒体 |
Research Abstract |
25年度は、研究代表者、研究分担者は当初の計画どおり、ヨーロッパで資料収集をおこなった。また研究成果も逐次発表している。 溝井裕一(研究代表者)は、2013年(8~9月)にヨーロッパへ渡航し、ナチスの絶滅動物復元計画に関する資料や、絶滅動物そのものに関する資料を収集した。またそのさい、復元計画の舞台となったベルリン動物園、ミュンヘン動物園、ポーランドのビャウォヴィエジャなどを訪問した。さらに、研究成果の一部は、著書『動物園の文化史』(勉誠出版、2014年)で公表している。しかしながら、ナチスが重視した古代ゲルマン文化と絶滅動物の文化的かかわりなど、未調査の部分が多く残っており、2014年度も調査の続行が必須である。 細川裕史(研究分担者)は、2013年(8~9月)にハノーバー大学図書館および市立図書館にて文献収集をおこなった。ただ、統計調査に使用しうる1次資料を手に入れることができなかったので、2014年の夏期に再調査を行う予定である。なお、これまでの研究成果は、「ナチズムの言語をめぐる言語意識ーV. Klempererの『第三帝国の言語』(1947に基づく一考察」(『研究論集』第18号、2014年、65~84頁)において発表している。 齊藤公輔(研究分担者)は、2014年(2月~3月)にクヴェートリンブルク付属修道院および付属博物館で資料収集をおこない、写真や書籍など現時点で必要最低限と思われる資料は手に入れた。現在、収集した資料を「ナチスによる集合的記憶の変更」および「想起媒体の記号としての教会への関与」という視点から精読・整理している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究分担者ともに、初年度は海外渡航して資料収集に努めるという当初の目的からそれることなく、順調に作業を進めている。また、著書や論文において、研究成果を発表しているだけでなく、互いに進行状況を確認しあっている。研究全体を見ても、とくに遅延はなく順調であると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2013年度において実施できなかった部分、たとえば、古代ゲルマン文化における絶滅動物の役割等に関する研究(研究代表者)、一次資料の収集(研究分担者)等をめざす。 研究計画においては、全国学会でシンポジウムをおこなうとしていたが、小人数のグループゆえ、この形式の発表には向かないのではないかとの指摘があった。したがって、参加者を増やしてシンポジウムをおこなう方法以外に、パネル発表と小規模のシンポジウムをそれぞれ春、秋におこなうなど、グループの規模にあわせた形式をとることも検討中である。 いずれにせよ、3名の研究を有機的に関連させながら、第三帝国における「集合的記憶」の役割を積極的に発表していく所存である。また、3名の研究成果を総合させた出版物をいずれ刊行するという当初の計画にも、変更はない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者のひとりが、資料収集するにあたり、26年度はより長期にヨーロッパで滞在する予定であり、そのために25年度における支出を抑えた形となった。 本研究グループは、平成26年度の海外における資料収集、物品購入、研究発表の準備、打ち合わせのために、次年度使用額をすべて使用する予定である。すなわち次年度使用額21,375円に加えて、研究代表者は400,000円、研究分担者はそれぞれ350,000円使用する。
|
Research Products
(2 results)