2015 Fiscal Year Annual Research Report
想起する帝国―ナチス・ドイツにおいて想起された「過去」の研究
Project/Area Number |
25370388
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
溝井 裕一 関西大学, 文学部, 准教授 (60551322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 裕史 阪南大学, 経済学部, 准教授 (60637370)
齊藤 公輔 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (90532648)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナチス / 集合的記憶 / 建築 / 祝祭 / ヴィクトール・クレンペラー / リヒャルト・ワーグナー / アライダ・アスマン / モーリス・アルヴァックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はもっぱら、研究代表者ならびに研究分担者が共同編集をつとめる『想起する帝国―ナチス・ドイツ「記憶」の文化史』(仮題、勉誠出版)の執筆・編集に集中した。 研究代表者(溝井)は、ナチス・ドイツにおける絶滅動物の復元計画について研究を続行するとともに、ナチス時代の建築についても調査・フィールドワークをおこない、それらがギリシア・ローマ文化あるいは古代ゲルマン文化との連続性を当時のドイツ人に想起させ、さらに大衆扇動に結び付けられていった過程について考察した。 研究分担者(細川)は、第三帝国における言語と集合的記憶の関係について研究を続行すると同時に、現代社会にも目を向け、ベストセラーとなった小説『帰ってきたヒトラー』とその映画版を分析し、これが今日の集合的記憶に根づいた「偉大な扇動家」という「ヒトラー神話」を再構築するものであることを指摘した。 研究分担者(齊藤)は、映画『ヒトラー―最期の12日間』で演出された「人間・ヒトラー」のイメージが巻き起こした論争に焦点をあて、集合的記憶におけるヒトラー像の変容についてアライダ・アスマンの「世代交代」論を取り入れつつ考察をおこなった。 本書は、研究協力者である浜本隆志(関西大学名誉教授)のナチスとドイツ伝統文化(祝祭)に関する考察、森貴史(関西大学教授)の戦後ナチスのイメージに関する考察、北川千香子(慶應義塾大学専任講師)のワーグナー作品とナチスの関係についての考察も取り入れ、戦前・戦後のナチス・ドイツと集合的記憶のかかわりを広範にわたって分析しており、2016年の初夏ごろに出版される予定である。
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Research Products
(5 results)