2015 Fiscal Year Research-status Report
ネルヴァルの文学作品生成過程において視覚芸術が果たした役割
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25370391
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
間瀬 玲子 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (30219357)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネルヴァル / カゾット / 悪魔の恋 / 悪魔のロベール / バレエ / オペラ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ネルヴァルのプレイヤッド版第3巻と『ネルヴァル辞典』などを参考にして、ネルヴァルが執筆した劇評の初出記事が収録された雑誌、新聞の所在の確認作業を続行した。また主要雑誌と主要紙である『アルチスト』誌と『プレス』紙を精査した。 2.ネルヴァルが執筆した各記事の分析作業を続行し、言及されている演劇、オペラ、バレエの台本の電子テキストを新たに入手し、分析を行った。また台本だけではなく、プログラム、舞台装置、舞台衣装の電子版の入手も行った。 3.ネルヴァルはジャック・カゾット『悪魔の恋』(1772)をバレエ=パントマイム化した作品の劇評を『プレス』紙1840年10月5日号に掲載した。まず劇評を詳細に検討した。ネルヴァルのその後の作品に出てくるテーマに深く関わる箇所が多いことが判明した。次にバレエ=パントマイム『悪魔の恋』のプログラム、台本を検討した。ネルヴァルの劇評と台本との間に違いがあることが判明した。その違いについて考察を行った。なお後にネルヴァルはカゾットの『悪魔の恋』(1845年版)の序文を執筆している。この研究は本務校の年報に発表した。 3.オペラ『悪魔のロベール』はスクリーブとドゥラヴィーニュが台本を担当し、音楽はマイヤベーアが担当し、1831年に当時のパリのオペラ座で初めて上演された。ネルヴァルは『プレス』紙1838年5月21日号で『悪魔のロベール』について言及している。そして『東方紀行』(1851年)においてコンスタンチノープルを描いた箇所で『悪魔のロベール』について言及している。オペラ『悪魔のロベール』とネルヴァルの『東方紀行』の記述には大きな違いがある。ネルヴァルが訳したゲーテの詩「旅人」やゴーチエの作品『コンスタンチノープル』が介在しているという結論に達した。この研究の成果は本務校の紀要に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネルヴァルが執筆した劇評の中で言及されている台本の電子テキスト及び書籍を入手することができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ネルヴァルが執筆した劇評の初出記事が掲載されている雑誌、新聞の電子テキストの所在確認作業を継続する。 2.ネルヴァルが執筆した劇評の中で言及されている演劇、オペラ、バレエの台本の分析作業を続行する。 3.ネルヴァルが執筆した劇評の中で特に言及が多い劇作家に注目して研究を行う。
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Research Products
(5 results)