2015 Fiscal Year Annual Research Report
元・明・清における演劇と白話小説の関係に関する研究
Project/Area Number |
25370401
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小松 謙 京都府立大学, 文学部, 教授 (00195843)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 白話小説 / 戯曲 / 演劇 / 版本 / 出版 / 読書 / 水滸伝 / 元曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
演劇と白話小説の研究の一環として、論文「元・明演劇における楊家将物語」を『楊家将演義読本』(勉誠出版)に発表した。 「四大奇書」の一つである『水滸伝』の本文校勘作業を進めた。これに合わせて、そこから得られた経験に基づいて、文学研究における科学的研究としての方法論確立の第一歩として、白話文学における本文校勘というものがどのような意義を持つかについて整理を行った。具体的には、校勘作業の方法を明快に論じるとともに、校勘作業からどのようにして、どのような書誌学的・文学的・語学的成果が得られるかを分類して論じ、8月27日に開催された中国古典小説研究会大会において「『水滸伝』版本研究序説」、12月5日に開催された中国古典小説研究会関東例会において「白話文学における校勘の意味―白話文学研究における方法論確立の試み」と題して発表した。 更に、今回助成を受けた3年間の研究の総決算として、著書『中国白話文学研究』をまとめた。同書は、第一部「元曲について」、第二部「『三國志演義』『水滸伝』と戯曲」、第三部「明清期における戯曲と小説」の3部13章からなり、本研究期間中の業績と、関連する過去の業績に加えて、大幅な加筆を行い、全面的に修正を加えたものである。内容的には、本研究の趣旨に従い、元・明・清、つまり十三世紀から十九世紀の中国における演劇と白話小説について、共通した題材を取り上げる演劇と小説が相互に影響しながら展開していく過程を跡づけることにより、物語の形成過程を解明するとともに、テキストの刊行状況や受容者層の実態を明らかにすることにより、「読書」という行為がどのようにして生まれ、展開したかを描き出そうとするものである。同書は、日本学術振興会研究成果公開促進費に応募し、採択されて、平成28年度中に汲古書院より刊行される予定である。
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Research Products
(4 results)