2014 Fiscal Year Research-status Report
オセアニアにおけるポストコロニアル文化形成と先住民移民文学―環境・共同体・芸術
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25370415
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小杉 世 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (40324834)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Lemi Ponifasio / Hone Tuwhare / Alexis Wright / Wan Smolbag Theatre / Te Toa Matoa / 舞踏(ダンス) / 環境と共同体芸術 / 核軍縮キャンペーン |
Outline of Annual Research Achievements |
5月発行の報告書「オセアニアと暗黒舞踏―近代と土着、普遍性と個別性をめぐる考察」では、MAUのダンス作品を中心にオセアニアにおける日本の舞踏の変容を、影響関係ではなく、通底する精神性のあり方という観点から、近代と土着、普遍性と個別性といったテーマを軸に論じた。 8月にはエディンバラ祭でニュージーランド・南太平洋関係の舞台芸術(第一次世界大戦100年記念作として制作されたMAUの最新作ほか)を視察し、Black Graceのサモア人振付師(Niel Iremia)などへのインタビューを行った。3月にはオークランド芸術祭でマオリ南太平洋系・中国系劇作家の演劇作品およびダンス作品を視察、オークランド市立美術館図書館とオークランド大学図書館で、ニュージーランドの画家Colin McCahonに関する資料と1960年代後半までのニュージーランドにおける核軍縮キャンペーンの初期の活動に関するマニュスクリプト資料を検証した。 年度末には第32回日本オセアニア学会研究発表大会で、研究発表(「環境と芸術―ヴァヌアツ・キリバスのコミュニティシアターとレミ・ポニファシオ(MAU)の舞台芸術」)を行い、ヴァヌアツのWan Smolbag Theatre、キリバスのTe Toa Matoaなどのコミュニティシアターの環境に対する取り組みと、それとは異なる次元で、Ponifasioの作品がどのように環境の問題を捉えているかを論じた。 1月出版の共著(担当章‘Indigenous Knowledge and Global Translation: Reconstruction of Australia through Aboriginal Imagination in Alexis Wright’s Carpentaria’)は、中国系アボリジニ作家Alexis Wrightの小説に見られる土着性とグローバル性の問題を論じている。その他、出版は来年度になるが、オセアニアの舞台芸術、詩、小説、絵画(L.Ponifasio, H.Tuwhare, J.Frame, C.McCahon)に関する2本の論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は学内業務の関係で調査旅行を行える地域や期間に制約があったため、新しい分野の開拓は困難であったが、論文の執筆に関しては、成果があった。また、年度末3月に行った学会発表では、関係分野のネットワークも広がった。ただし、申請当初予定していた翻訳に関しては、なかなか時間がとれず、予定を見直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は学内業務の関係で調査旅行を行える地域や期間に制約があったため、また、来年度後期にサバティカルをとる予定であるので、この期間の前半に調査旅行を複数回予定しており、今年度の予算のうち保留しておいた分をその渡航費にあてる予定でいる。来年度全前半には国際学会での招待発表(基調講演)においても、本科研前半期での成果を発表する。来年度後半のサバティカル期間中にできるかぎり博士論文をまとめたい。来年度後半からは、新しい共同研究も予定している。
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Causes of Carryover |
今年度は学内業務の関係で調査旅行を行える地域や期間に制約があったため、調査旅行よりも論文の執筆などに重点をおき、来年度後期にサバティカルをとる予定で調査旅行費用が多く必要であること、来年度前期には国際学会での学会発表の予定もあることなどから、今年度の予算の一部を次年度に残しておくことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は複数回に渡って海外渡航を予定しており、地域的にも渡航費がかさむので、今年度に残しておいた予算と来年度の予算をあわせて、使用する計画でいる。国際学会での招待発表(基調講演)も渡航費は個人もちであるので、今年度の残額の中から支出する予定である。
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Research Products
(4 results)