2013 Fiscal Year Research-status Report
日韓語の文末連体・名詞化構文の機能類型論的研究:語用論的機能と構文間の連続性
Project/Area Number |
25370429
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀江 薫 名古屋大学, 大学院国際言語文化研究科, 教授 (70181526)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 文末名詞化構文 / 文末連体構文 / 機能的連続性 / 従属節の主節化 / 語用論 / 複文 / 文法化 / 主節現象 |
Research Abstract |
本研究は、(I)文末名詞化構文((a)コピュラありタイプ, (b)コピュラなしタイプ)と文末連体構文の機能的分類・特徴づけ, (II)文末名詞化構文と文末連体構文の連続性の記述・分析を目標として研究を実施した。 (I)に関しては、日韓語の「文末名詞化構文」に関して、自然発話コーパスからの用例の収集・分類を行い、機能類型論的分析を研究論文として発表した(堀江2014)。具体的には、研究補助者の協力を得て10数枚のセリフのない漫画(Mr. O)を出来事順に並べる作業を行う二名の母語者(日本語・韓国語等)の自然会話、および最も驚いた経験の語りから成る「Mr. O Corpus」からの日韓語の文末名詞化構文を収集し、生起頻度およびそれぞれの構文の果たす語用論的・相互行為的機能を分析した。また、韓国語の3種類の文末名詞化構文(-N kes, -l kes, -tanun kes)の機能を、日本語の対応する構文と対比しつつ、これらの名詞化構文によって表される事象の実現可能性の程度に基づいて分析した(呉・堀江, 印刷中)。また、(II)に関しては、文末名詞化構文と「文末連体構文」の両者を「従属節の主節化」という観点から統合し、複文の機能類型論的研究の最近の展開に照らして、日韓語の文末名詞化構文、文末連体構文がどのような特徴を有しているかを分析した(堀江2014a)。さらに文末名詞化構文を含む「言いさし」表現のヘッジとしての機能の分析も行った(堀田・堀江2013)。(I)と(II)の背景的・基盤的研究として、言語類型論という分野および複文の類型論研究に関する編著及び展望論文を発表した(益岡, 大島, 堀江ほか2014, 堀江2013, 2014b)。 研究協力者である金廷珉氏(麗澤大)、李ソンハ氏(韓国外大)を招聘し、韓国語の文末連体形、文末名詞化構文に関して文法化の観点から最新の研究成果を2月6日に名古屋大学で公開講演会として発表して頂いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述したように、平成25年度の達成目標であった、「文末名詞化構文と、文末連体構文の機能的類型・特徴づけ」と「両者の連続性の記述・分析」に関して、自然発話コーパスやインターネットでの実例の収集・分析を行い、国内外の学会発表を行うとともに複数の論文化を行うことができた。さらに、本研究を「複文」の類型論的研究というより広い研究動向の中に位置づけ、本研究の意義を展望論文という形で公開し、あわせて国内外の協力研究者を招聘して公開講演会を行うことができた。これらのことから、当初の計画以上の進展・展開であったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、従来より研究が行われてきておりある程度の研究蓄積のある「文末名詞化構文」に比べて、これまで独立した構文としての認知度が低く、研究も十分に行われてこなかった「文末連体構文」に関して、特に通常の終止形と形態的な区別が明確である韓国語の「連体終止形」の用例をインターネットはもとより、テレビ番組のテロップなどもデータとして用いて、その機能の分析をより充実させていく計画である。
|