2015 Fiscal Year Annual Research Report
句構造の形成と解釈における意味的選択、形態的選択および発話行為整合性の役割
Project/Area Number |
25370445
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
斎藤 衛 南山大学, 人文学部, 教授 (70186964)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 比較統語論 / パラメター / ラベリング / 文法格 / 補文の構造と解釈 / 削除現象 / スクランブリング / 項省略 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間のプロジェクトを完成させるために、大別して2種類の研究を行った。一つは、統語派生により形成される連鎖の解釈に関する研究であり、もう一つは、統語構造のラベリングによって言語間変異を捉えようとするものである。 (1) 再構築化現象と照応形の解釈に焦点を当てて、英語のWh移動と日本語のスクランブリングを詳細に比較し、連鎖の解釈に関する一般的なメカニズムを提案した。この研究は一昨年に開始し、フランクフルト大学における国際学会で成果の中間報告を行っているが、研究を完成させて“Remnant Movement, Radical Reconstruction, and Binding Relations”と題する論文にまとめ、論文集 Remnant Movement (De Guyter Mouton, Berlin) に公表した。 (2) 昨年度、日本語文法の特徴である多重主語、自由語順、複合述語の多用などをラベリング・アルゴリズムから導く提案を、共著書On Periperies (ひつじ書房) に掲載した論文 "Case and Labeling in a Language without Phi-feature Agreement" において行っ た。今年度は、この研究を発展させつつラベリングの観点から削除現象全般を見直し、特に項省略の比較統語論を展開して、Chomsky (2013) のphi素性共有によるラベリングに対する代案となる格素性の共有によるラベリングを提案した。この成果は、論文 "(A) Casefor Labeling" として、専門誌 The Linguistic Review に発表した。 また、この一連の研究の帰結として、根本的な原理とされてきたθ-規準を除去し、その効果をラベリング・アルゴリズムから導くべきであるとの結論に至った。英語では、θ-規準に抵触する例はラベリング・アルゴリズムによっても排除されるが、日本語のような言語では、θ-規準に抵触しつつもラベリングはなされる例が文法的に適格であることが、その経験的根拠である。この成果は、9月に開催された國立清華大學語言學研究所30周年記念シンポジウムにおいて発表した。
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[Book] Remnant Movement2015
Author(s)
Guether Grewendorf, Yuji Takano, 他10名
Total Pages
322pp. (pp.221-255を担当
Publisher
De Gruyter Mouton (Berlin)
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