2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370479
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻 星児 岡山大学, 社会文化科学研究科, 特任教授 (40108113)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中期朝鮮語 / 古語辞典 / 基礎語彙 / 朝鮮資料 / 日本資料 / 語彙研究 / 歴史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,とくに次の3点を中心に研究を実施した。1)中期朝鮮語(15-16世紀)基礎語彙の記述、2)「日本・朝鮮資料」による対訳付き近世朝鮮語語彙集の作成、3)言語交流資料の調査・発掘 1)については、25年度に予備選定作業、26年度に身体語および関連語をまとめ公刊した。最終年度には、衣服に関する中期語の基礎語彙研究をまとめ公刊した。これは、衣服を表す基礎的語彙45語を選定し、それぞれに原典からの引用例文(初出例と確実な傍点を含む)、注釈および日本語訳を付した上で、網羅的に収集した関連語(117語)と訳を付し、さらに16世紀の「日本資料」からの用例も加えてまとめたものである。以上の研究をとおして、古文献による基礎語選定と注釈のありかた、関連語の収集、日本語訳の問題等、古語辞典編纂の基礎となる成果と問題点を明らかにすることができた。 2)については、近世語文献『捷解新語』(原刊)の語彙を中心に、対訳日本語付の全実質語索引を作成してきた。対訳日本語の確定作業が難航したことで、全体のほぼ8割程度は作業が終わったものの完成には至らなかった。しかし、本研究の意義の一つ「日朝言語交渉史を取り込んだ」辞典のための基礎固めはある程度達成できた。 3)については、25、26年度は、東京都立中央図書館、酒井家文庫等で新たな日朝言語交渉資料、中期語資料を調査した。最終年度には、蓬左文庫、長浜高月観音の里歴史民俗資料館等で調査を行った。前者では『内訓』、『救急方』等、後者では、雨森芳洲関係の資料『全一道人』、『吏文大師』を調査した。とくに『吏文大師』は、これまで調査されたことがないが、言語史研究に貢献できる資料と見られる。 以上の研究成果を踏まえ、最終年度には、韓国の国際学会で、韓国語と日本語の語彙・語法の類似性について研究発表を行い、両言語には類似とともに大きい乖離性があることを指摘した。
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