2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Top-down Approach to Anaphora
Project/Area Number |
25370552
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
寺田 寛 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90263805)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生成文法 / ミニマリスト・プログラム / 移動のコピー理論 / トップダウン派生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は、Heinat(2008)の分析について日本英文学会の関西支部の学術誌に書評の形で内容を紹介し、その問題点を指摘した。フランス語をもとにして議論を展開するCharnave and Sportiche(2013)の分析をもとに英語の照応形について検証した。 平成26年度は、Hicks(2009)やKoster(1987)らの先行研究の問題点を検討し、照応形の形式が代名詞に置き換わるときにのみ、代名詞には強勢が置かれるという分析を行った。音韻論における、代償延長に類似した現象であると捉えた。日本人の大学生にアンケート調査を行い、代名詞の先行詞を日本人学習者が適切に策定できるのかを検討した。 平成27年度は、Cecchetto and Donati(2010, 2015)で示唆されている付票貼付(labeling)理論分析を吟味し、その妥当性と問題点について考察を行った。Cecchetto and Donati(2015)の分析の問題点を、日本英文学会の学術誌に書評の形で出版した。付票貼付分析への代案として、素性と一致とトップダウン式の構造構築から代名詞の照応を説明する可能性を追求した。 平成28年度には、先行詞の移動のあとに作られるコピー構成素が代名詞として具現されるというAbe(2014)の分析をトップダウン式の構造構築法から捉え直すため分析を考察し、その可能性と問題点を検証した。より具体的には、Dechaine and Wiltschko(2002)のDP分析を採用し、先行詞DPの中に含まれるファイ句(φP)が別の位置へコピーされることで、heやherなどの代名詞へ置き換えられるという提案を行い、コピー理論によって代名詞の照応を導き出した。しかしながら、oneとdo soという代用形についてこの分析を拡張するには多くの問題点があることを明らかにした。
|