2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of phonological word database based on an analysis of English phonological input for Japanese junior high school students
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25370622
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村尾 玲美 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80454122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神白 哲史 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (90439521)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 頻度効果 / 音韻語 / 音声言語認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに構築した音韻語データベースの分析から、中学校英語検定教科書18冊において18回以上出現する3音節の音韻語は27種類あることが明らかになった。平成28年度は、教科書からのインプット量と聞き取りの関係を探るため、大学生63名に対してディクテーションテストを行った。問題文は頻度18以上の3音節連鎖26種類を含む26文であり、英語母語話者に自然な発話速度(205.25WPM)で読み上げてもらい録音した。ディクテーションの採点は通常単語ごとに行うが、本研究では実験文を三音節連鎖に切り分け、三音節とも聞き取れている場合のみ点を与えた。データベース上の出現頻度が18回以上の表現を高頻度音節連鎖とし、頻度が1から3の表現を低頻度音節連鎖として、聞き取りの正解率を分析したところ、学習者は高頻度音節連鎖をより正確に聞き取っていることが明らかとなった。頻度効果が見られるのは単語頻度なのか、音節連鎖頻度なのか、または音節連鎖内の個々の音節頻度なのかを明らかにするため、この3種類の頻度と聞き取りの正解率との相関を分析した。その結果、頻度効果が見られたのは音節連鎖頻度のみであり、単語頻度と個々の音節頻度は聞き取りの正解率とは無相関であった。以上の結果から、個々の単語や音節に遭遇する頻度の高さは必ずしも聞き取りを助長することにはつながらず、特に機能語においては頻度の高さは聞き取りとは無関係であることが明らかとなった。一方、本研究で三音節連鎖として扱ったような音韻的な塊や音韻語は、遭遇する頻度が高ければそれだけ高い認識率につながることが示唆された。これは、単語に比べて音韻語は音韻的特有性(unique phonological identity)と意味的特有性(unique semantic identity)が高いからだと考えられる。
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