2013 Fiscal Year Research-status Report
シャド-イングと誘出模倣のL2自発発話に対する影響の比較
Project/Area Number |
25370637
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
金子 恵美子 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (30533624)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教授法 / L2スピーキング / シャド-イング / 誘出模倣 / 自発発話 |
Research Abstract |
平成24年度までは、作動記憶訓練として、シャド-イングと誘出模倣の両方を行い、自発発話の英語スピーキング力の変化を調査した。平成25年度からは、シャド-イングと誘出模倣のL2自発発話を別の学習者グループにそれぞれ実施し、それらの影響を調査した。この2つの練習法の違いは、シャド-イングは音声の直後に繰り返すのに対し、誘出模倣では、音声を聞いたあと3秒間待って、聞いた音声を再構築して発するという点である。調査対象は、コンピュータ理工学専攻の大学1年生の英語初級者(TOEIC平均315点)である。週に一度、約15週間に渡り、Aグループ(24名)ではシャド-イングとread and look up, Bグループ{24名)では誘出模倣とread and look upを行い、訓練期間の最初と最後に自発発話を反直接テストにより引出し録音した。録音された音声は、4人の書き起こし、タグ付、音声分析者が処理を行い、複雑さ、正確さ、流暢者の数値的指標を得た。 結果として、シャド-イング、誘出模倣のどちらかだけでも、学習者の発話の量が増し、流暢さが上がることがわかった。しかし詳細な分析では、以下のような違いが見られた。①Bグループでは正確さが上がった、②Bグループでは構文的複雑さが増した。③Aグループでは言い直しが増えたが、繰り返しは減少した。また両グループとも、文章が短くなった。 以上より、流暢さはどちらの練習でも増すが、音声を聞き取り、3秒間短期記憶にその意味を保持し、英文を再構築するという誘出模倣の結果、発話の質的変化(構文的複雑さ、正確さの向上)が引き起こされたようだ。ただし、統計的有意な交互作用には達しておらず、今後、更に被験者を増やし、質的な変化が起きているのか、精査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書き起こしと分析に時間がかかるため、後期に録音した分の分析が終了していない。これは当初の予定通りである。前期、後期合わせて、当初予定の75件を上回る80件のデータを録音することができた。 結果としては、統計的有意な交互作用に至らなかったが、サンプルサイズが小さいことが理由とも考えられ、来年度以降更にデータを集め、更に研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
同様の練習を引き続き行いたい。特に今年度はコントロールグループの発話も再度録音し、同時に、実験グループのデータも増やしていく。 今まで、多くの国内外の学会で結果を発表してきたが、論文の出版に至っていない。研究内容の性質上、外国語としての英語教育(EFL)を中心に取り上げる専門誌への掲載をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の研究費で払うべき項目が予想より多く発生したため、次年度使用額が生じた。 コントロールグループ、並びに、2つの実験グループのデータを増やす。次年度使用研究費は、主に録音した音声の、書き起こし、タグ付、PRAATによる流暢さ分析の人件費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)