2013 Fiscal Year Research-status Report
リンガフランカとしての英語教育-小学校外国語活動の教員養成ニーズ分析
Project/Area Number |
25370703
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
田中 宏昌 明星大学, 人文学部, 教授 (90328980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大金 エセル 玉川大学, 観光学部, 教授 (60338639)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンガフランカ / マルチリンガリズム / アイデンティティ / 国際研究者交流 / 台湾 / ルクセンブルグ / 日本 / トランスリンガルプラクティス |
Research Abstract |
本研究のテーマに向けて、複数の方法を使い異なる方向から、「小学生のリンガフランカ」にアプローチしている。それぞれのアプローチに関しての進捗状況は次のようになっている。1リンガフランカからのアプローチ。複数言語がつかわれているルクセンブルグとベルギーでのインタビューデータ収集、子供ではなく大人における言語活動の理論的枠組みの考察を行った。その結果複数の言語を超えた実践の実態が理論的に整理されてきた。2子供たちの言語実践データからのアプローチ。夏の子供たちを対象にした実践活動のデータから、体を使った言語活動での認知など、こどものコミュニケーション活動の特色が洗い出された。3海外からの研究協力者の招待を行い、データを理論をもとに分析するアプローチに関する議論を行った。議論の中から複数の言語を自分の資産として活用するようなアイデンティティの構築の考え方、またリンガフランカ英語に必然的にともなう複数の母語の絡み合いから生まれるトランスリンガル・プラクティスの発想が生まれた。そして、海外研究協力者から研究者がステイクホルダーとして研究をすすめる参加型の研究方法が提案された。以上の進捗状況の中から大人におけるリンガフランカのコミュニケーションのデータを中心にアプローチした田中の論文2本、図書1冊、学会発表1本、そして英語学習のデータから研究をすすめた大金による論文3本、さらに全員による、本研究のテーマの中心部分に焦点を当てた全員による学会発表一本という結果になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外研究者との交流も含めて、おおむね順調に進展している。リンガフランカの考察を勧める中で、研究対象者がリンガフランカ英語を使う状況には、コミュニケーション活動に参加する話者の複数の母語の存在が大きく影響してくることが、あらたな研究の焦点として浮上してきた。唯一計画の進展上で、想定通りにならなかった部分は夏の児童教育の実践活動の中で、子供たちの社会的な背景という要素が大きな影響を与える事に気付いた点である。市立小学校の児童と公立小学校の児童のもつリンガフランカ英語に対するアイデンティティは、この研究の中でおおきな要素になる可能性があるが、その点に焦点を置いたデータ収集がすすまなかった。この部分のデータ収集は、今年の実践活動で集中的に行う予定である。 これまでの研究の進捗状況をもとにした論文発表の計画がAILA(国際応用言語学会)での審査を通過した。審査通過率の低い、ハードルの高い学会の審査を通過したということで、本研究に対する国際的な評価をうけたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の夏の実践活動では、より研究対象者の中に入り、内部的な視点でのビデオデータの収集を行い予定である。昨年度のデータ収集から、不足しているタイプのデータがはっきりしてきているので、より焦点を絞ったデータ収集が可能であると思われる。また国際応用言語学会では、世界的な研究者からのフィードバックが得られると予想される。また複数言語の使用者の中での英語使用に注目したトランスリンガル実践や、体を使ったこどもたちの認知についての研究が最近進んでいると思われるので、特にこの分野の研究者の発表を聞き、できれば個人的に話し合いをしたいと考えている。同時い複数のアプローチからによる研究を一つ一つ論文として完成し、まとまった形で発表できる方法を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画作成時に2013年度に予定していた、海外研究協力者のKathryn A Davis の来日が、本人の研究およびサバティカルの関係で2014年度となったため。 2014年度にすでに来日し、研究データの分析会議を行った。
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Research Products
(12 results)