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2016 Fiscal Year Research-status Report

シティズンシップ論へのコミュニケーション学的アプローチの模索

Research Project

Project/Area Number 25370724
Research InstitutionUniversity of Shizuoka

Principal Investigator

藤巻 光浩  静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50337523)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山脇 千賀子  文教大学, 国際学部, 教授 (40302343)
青沼 智  津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50306411)
森泉 哲  南山大学短期大学部, 英語科, 教授 (60310588)
福本 明子  愛知淑徳大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (70387835)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2018-03-31
Keywords市民教育 / ミュージアムの機能としての啓蒙 / 市場万能主義 / 複数言語環境 / 移民/越境者の子どもの教育問題 / コミュニカティヴな場・フィールド / 複数性
Outline of Annual Research Achievements

まず、研究代表者の藤巻は、ミュージアムという市民教育・啓蒙を担う機関に関して、特に美術館に焦点を当て、現代におけるシティズンシップ教育の可能性と限界を具体的に提示した(市民教育とシティズンシップ教育は重なる部分が大きい)。中でも、ポルノグラフィー論争を引き起こした、2013年開催の会田誠展に着目し、芸術が市民の啓蒙を図ることと、展示内容が引き起こすミソジニーとの間の緊張の中で、ミュージアムにおけるシティズンシップ教育の限界が露呈したことを提示しつつ、そじから生まれる新しい可能性にも注目した。一方、従来「市民」を育成する目的を掲げてきたミュージアムにとって、市場原理万能の時代、その目的を果たすことが困難となっている中で、美術館はシティズンシップ教育を活性化させるというよりは、後退させる可能性の方が高いことを論じた。
分担研究者の山脇は、複数言語環境のもとで生活することを余儀なくされている移民/越境者の子どもの教育問題をめぐって、欧州で盛んに議論がされている複言語主義およびアクティヴ・シチズンシップ概念を活用しながら、異文化間交流の可能性と限界について考察した。また、同様のテーマで、書評論文においても、複数言語環境に生きる中国朝鮮族にとっての教育と使用言語をめぐる問題に着目した。
両者の研究において、シティズンシップ教育の可能性は、複数の視点が交錯するミュージアムや複数言語環境のようなコミュニカティヴな場・フィールドにおいて顕在化することが確認された。その複数性を、いかに教育や啓蒙の場において担保していくのかが重要である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画では、H28年度は「教育モデルの策定期」として位置づけていたが、これをH29年度に回した。代わりに、H27年度の成果をさらに転回させることとなった。というのも、教育モデルの策定期において期待されているもの(例えば、シティズンシップ教育のシラバスの検討・公開など)が、研究に根差したものである必要があったためである。したがって、H28年度は、それぞれの研究のさらなる展開・深化を図った。この措置を採ることにより、最終年度の研究成果の発信を、研究成果に根差したかたちで教育モデルを提示することが可能になった。結果的に、この変更は、本研究チームにとり、都合がよいものであることが、メンバーの間で確認された。

Strategy for Future Research Activity

H29年の最終年度は、研究成果の発信をする時期である。すでに、研究論文や著書のかたちで、メンバーは成果を十分に発信している。一方、本研究は、シティズンシップ教育についてのもので、具体的な教育実践を提示することが求められている。すくなくとも、これまでの研究成果に基づき、教育モデルの提示を、12月に行われる日本コミュニケーション学会の中部支部において、行ってみる予定だ。メンバーは、それぞれの研究は言うまでもないが、12月までに具体的な教育モデルの策定案を練ることとなっている。

Causes of Carryover

本研究は、H29年が最終年度であり、成果の発信を主にしなくてはならない。そのための準備をするためである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

H29年度の成果発信に備え、シンポを開催し、その成果をウェブページにまとめるために使用する予定である。また、それぞれの研究課題のフォローアップのための調査にも使用してみたい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 「制度としての美術館」と作品の意味・可視性 ~森美術館における会田誠回顧展と「ポルノグラフィー」論争~2016

    • Author(s)
      藤巻光浩
    • Journal Title

      『日本コミュニケーション研究』

      Volume: 第45巻2号 Pages: pp.47-70

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 「複数言語と「共に生きる」ために―移民/越境者をめぐる教育問題・複言語主義・異文化間交流―」2016

    • Author(s)
      山脇千賀子
    • Journal Title

      『世界と未来への架橋』(文教大学国際学部叢書編集委員会[編])創成社

      Volume: なし Pages: pp.33-59

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 書評:趙貴花『移動する人びとの教育と言語―中国朝鮮族に関するエスノグラフィー―』(三元社2016年)2016

    • Author(s)
      山脇千賀子
    • Journal Title

      『アジア太平洋研究』(成蹊大学アジア太平洋研究センター[編])三元社

      Volume: No.41 Pages: 169-178

  • [Presentation] Nostalgia has Different Shades: A Cross-societal Reading of the Interpretative Politics of KANO2016

    • Author(s)
      Fujimaki, Mitsuhiro & Tang, Shih-che
    • Organizer
      International Communication Association
    • Place of Presentation
      Hilton Bay Hawk, Fukuoka
    • Year and Date
      2016-06-10
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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