2013 Fiscal Year Research-status Report
TOEIC(R)スコアの分析に基づくスピーキング能力向上に関する研究
Project/Area Number |
25370727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
神崎 正哉 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30647847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 由紀 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (80648155)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TOEIC / Listening / Reading / Speaking / Vocabulary Levels Test / Vocabulary Size Test |
Research Abstract |
リスニング力、リーディング力、スピーキング力と語彙力の関係および英語力に影響を与える学習者要因を調べるため、88人の調査協力者を対象に3種類のTOEICテスト(L, R, S)、Vocabulary Levels Test (VLT)、Vocabulary Size Test (VST)および学習傾向・学習者特性を調べるための調査票調査を行った。 神田外語大学の学生を対象に調査協力者を募り、88人の参加者を得た。参加者中、TOEIC LRのスコアが著しく低い者が1名おり、データ分析から除外した。また、語彙テストを最後まで終えなかった者が5名おり、語彙テストのデータ分析から除外した。 3種類のTOEICテストのスコアを較べると、相関係数はL-R間で.68、L-S間で.50、R-S間で.48であった(N = 87)。この調査では「LRのスコアがこれ以下だとSのスコアは一様に低くなる」という閾値は、確認できなかった。3種類のTOEICテストの結果を2種類の語彙テストのスコアを較べると、相関係数はL-VLT間で.49、R-VLT間で.69、S-VLT間で.58、L-VST間で.39、R-VST間で.56、S-VST間で.33であった(N = 82)。 調査票は英語学習への取り組みおよび自己評価に関するのも(例「スピーキングの練習に力を入れている」「文法は得意だ」「単語を覚えるのが好きだ」)24項目と英語との接触度合および一般的特性の自己評価に関するもの(例「英語の映画をよく観る」「人と話をすることが好きだ」)19項目から成り、因子分析を通じて、前者から5因子、後者から3因子を抽出した。これら8因子とTOEICスコアとの関係を調べると、リーディング肯定感および文法・作文肯定感とRスコアの間に中程度の相関があった(相関係数は.44と.43)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行には調査協力者が不可欠である。平成25年度は、「7月30日にTOEIC S、語彙テスト、調査票調査を受ければ、7月29日のTOEIC IPテストの受験料3,700円を免除」という交換条件で調査協力者を募り、88人の協力を得た。これは当初見込んでいた75人より多く、その分TOEIC LRとTOEIC Sの受験料も当初の見込みより増えた。 TOEIC Sの実施に際しては、試験に使うコンピュータのセットアップ、試験監督、撤収作業等を神田外語大学教務課職員の協力の下に行った。また、TOEICの運営団体である国際ビジネスコミュニケーション協会からTOEIC Sの実施の仕方の指導を受けた。さらに試験当日には同協会より試験官3人とスピーキングテスト担当者2人が来校し、試験の監督業務を行った。TOEIC Sの学内実施は今回が初めてであったが、各方面から協力が得られたおかげで無事に終わった。 当初の予定では、スピーキング力と英語学習、英語環境、パーソナリティに関わる要因との関係を明らかにし、スピーキング能力向上につながる英語学習上の指針を提示することを目指していたが、今回の調査票調査ではこれらの要因とスピーキング能力の間に統計的に有意な相関関係は見られなかった。上記要因以外でスピーキング力に影響を与える要因を探る必要がある。 また、ネイティブ講師に直接スピーキング力を判断してもらい、TOEIC Sスコアとの関係を調べることを予定していたが、運営上の問題が生じ、実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も前年同様、神田外語大学の学生から調査協力者を募り、TOEIC LR、TOEIC S、その他のテスト、調査票調査等を受けてもらう。平成25年度に行った2種類の語彙テストは行わない。平成25年度の調査で語彙力とリスニング力、リーディング力、スピーキング力の関係がある程度分かったので、再び繰り返す意義は薄いと判断した。また、語彙テストは実施と採点・入力に時間がかかるので、負担が大きい。代わりに平成26年度はMinimal English Test (Maki, 2003)を使い、3種類のTOEICテストとの関係を調べたい。 調査票の質問項目は見直す必要がある。平成25年度の調査票には、客観的な基準が存在しないため捉え方は個人によって大きく異なる質問が多く含まれていた。特に、学習行動については、より具体的な指標として、実際の学習行動を示すと考えられる学習時間数(「よく観る」、「よく聴く」と言った表現ではなく)、成績評価、他の英語能力試験の受験回数などに関する質問も検討する必要がある。さらに、平成25年度の調査票に入っていないがスピーキング力に影響を与える可能性のある要因(例えばネイティブスピーカーの英語に対するあこがれ度やコミュニケーションに対する積極性など)も考慮したい。 平成26年度はTOEIC Sを行う前に試験形式の説明を詳しくする予定である。25年11月~12月に実施した面談調査において、TOEIC Sの試験形式に慣れてないので、戸惑ったという者が複数いた(例「準備時間だと思って、話す内容を考えていたら、次のセクションが始まった」)。そのような状態ではスピーキング力を正しく測定できないので、試験の前に問題形式の説明が必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、調査協力者が予定より多く集まり、TOEIC受験料の支払額が増えたことが関係している。当初、統計分析ソフト(IBM SPSS)の購入を予定していたが、受験料が増えたため、購入に必要な金額が残らなかった(同ソフトの価格は約10万円で、受験料支払後の残額は43,720円だったので、約56,000円不足)。ソフトを購入しなかったため、この金額がそのまま残った。 この次年度使用額は平成26年度に行う調査のTOEIC受験料を賄うのに使う予定である。平成26年度の調査では、さらに多くの調査協力者を募る予定なので、受験料も増えることが見込まれる。よって、次年度使用額で補いたい。
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Research Products
(2 results)