2014 Fiscal Year Research-status Report
英語多読学習における評価の検証-言語テストの観点から
Project/Area Number |
25370741
|
Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
吉田 弘子 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (50449857)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 多読 / 多読指導の評価 / EPERテスト / クローズテスト / ラッシュ分析 / テストの実用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年大学の英語教育で導入が進んでいる英語多読指導の評価方法を言語テストの観点から検証し、多読研究及び指導におけるあるべき評価方法を提案することを目的とする。学習者にとり公明正大な評価は学習への動機づけを高め、また指導者にとっても得られた評価データを分析することによって客観的に多読指導を省みることが可能になる。研究2年目である平成26年度は、多読用テストとして開発されたEdinburgh Project on Extensive Reading TestのPlacement/Progress Test (EPER PPT) をラッシュ分析を用いて分析した。その結果、EPER PPTの難易度レベル、内的一貫性の信頼性、受験者の能力を有効に弁別できない項目が明らかになった。また、現在よりも項目数を削減しても一定の信頼性が得られることが検証された。さらに、多読指導を実施している英語教員に採点方法などのテストの実用性についてアンケート調査も実施した。 EPER PPTの分析及びアンケート調査をもとに、言語テストの専門家のアドバイスを受け、多読学習効果を測定する望ましい新テストとはどのようなものであるかの検討を行った。その結果、1.多読の効果に関する研究結果を反映させている、2.対象学生の幅広いリーディング能力を測定できる、3.実用性(実施しやすさ、採点のしやすさ)の3つの条件を満たすテストが望ましいと考え、テスト草案の策定を開始した。 なお、分析結果の詳細については、平成26年度の学会等で一部発表した(JACET関西秋季大会、日本多読学会年会)。また、それらをもとにして論文を現在執筆中である。なお、多読の評価の重要性については、言語エキスポ2015において「成果をもたらす多読指導:図書館との連携から評価まで」の表題で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の計画であったテスト項目の分析と実用性の調査のためのアンケートも終え、現在はその成果のまとめに入っている。また、多読テスト作成への準備も開始しており、3年目の研究も支障なく始動している。
|
Strategy for Future Research Activity |
多読学習効果を測定する新テスト草案の作成を進める。新テストの作成には、数年間にわたって作成と検証を繰り返し検証することが必要である。そのためにこれまでよりより多くの大学との協力が不可欠である。学会や研究会などで繰り返し多読指導の評価の必要性を訴え、検証データを集めることができるように進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
当初計画よりも進展があったため、平成27年度に予定であった新テストの作成の準備に着手した。このために、テストの原案となる何種類もの英文作成と校正、英文を用いたパイロットテストの作成、そしてテストの実施と採点などが必要になったため、平成26年度に前倒し支払を請求した。次年度使用額はこの剰余分である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施予定だった新テストの作成の準備を平成26年度中に前倒ししたが、パイロットテスト作成と分析は平成27年度中も引き続き行うことが必要であり、その計画の中で使用する。
|