2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 奈緒子 京都大学, 総合博物館, 教授 (80303759)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鎖国 / ヨーロッパ概念 / ロシア / 対外観 / レザノフ / ラクスマン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の研究成果を3編の論文にまとめるとともに、「鎖国論」の鎖国政策への影響の解明に取り組んだ。年度中に松浦史料館での再調査を実施できなかったため、歴史段階を精査することに方針を変更した。具体的には、志筑忠雄による「鎖国論」の執筆を、昨年度明らかになったヨーロッパ概念の成熟と、ラクスマン来航への日本の対応が導き出した反応という二つの枠組みの中でとらえなおすことを試みた。その結果、レザノフ来航時に、「鎖国」が外交方針として提示された背景に、ロシアがヨーロッパの一翼をなすだけでなく、ヨーロッパの中でも最大の軍事力を誇る最大の国家であるとの認識があったことを解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
資料の調査に芳しい成果がなかったが、視角を変えることで、従来にはない視点で「鎖国論」と「鎖国」政策の関係を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
「鎖国」政策採用の経過の具体像を明らかにするには、政策レベルでの資料の発掘が不可欠である。今年度は、北海道立文書館、内閣文庫、東京大学史料編纂所での詳細な調査を行うことにより、実像把握に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
1月に予定していた調査を家庭の事情でキャンセルする必要が生じ、年度中の執行ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
キャンセルした調査については、夏期休暇中の早い時期に実施する計画である。したがって、今年度のように、万が一出張が延期になった場合でも、計画の遂行に支障がないよう対応は十分可能である。
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Research Products
(4 results)