2015 Fiscal Year Annual Research Report
近世村落における地域情報の調査・記録に関する比較研究
Project/Area Number |
25370785
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
東 昇 京都府立大学, 文学部, 准教授 (00416562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 近世 / 村落 / 地域情報 / 天草 / 上田宜珍 / 対馬藩 / 幕府領 |
Outline of Annual Research Achievements |
文書の翻刻・データ化については、①肥後国天草郡高浜村上田家文書、昨年度に続いて、上田宜珍が庄屋を勤めた寛政4年3月~12月分の日記、②山城国久世郡上津屋村伊佐家文書、庄屋伊佐貞利の安政2年10月~安政5年極月の一部を翻刻・データ化した。 史料調査に関しては、①2015年8月25~28日上田家文書調査(上田家資料館所蔵)、上田宜珍の学芸に関する「本居大平入門誓詞」をはじめ、宜珍が編纂した天草郡の地誌・歴史書である「天草備考」「天草風土考」、島原や熊本藩に仲介した漢籍の写本である「練兵日記」、岡山藩の「備藩典刑」等の写真撮影を実施した。また上田家資料館の文書管理担当田中光德氏と、上田家文書に関する研究の意見交換を行った。 共同研究者との研究会では、2015年11月10日に地域情報学研究会に参加し、「『近世の村と地域情報』、天草上田家日記の分析」と題して、天草郡高浜村の上田家日記の地域情報に関する研究について報告し、内容について議論した。 これらの研究の成果として、上田家日記について①日記の内容から分析した書籍と学問の分析「近世後期肥後国天草郡における庄屋をめぐる書籍の貸借と学問・行政」(『京都府立大学学術報告(人文)』67、2015)。②天草郡の地誌、歴史書の編纂における地域情報を検討した「地域情報の集成と知識の伝播-書籍による人のつながり」(『近世の村と地域情報』吉川弘文館、2016)。③村の行政、運営と地域情報の関係全体を考察した『近世の村と地域情報』(同左)をまとめることができた。特に『近世の村と地域情報』では、6章を第1部地域情報と日記・文書、第2部庄屋日記の地域情報としてまとめ、序章・終章で研究史に位置付けた。
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