2014 Fiscal Year Research-status Report
エジプト王バクエンレンエフのギリシア・ローマ世界への伝播過程に関する研究
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25370838
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
大城 道則 駒澤大学, 文学部, 教授 (00365529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 古代エジプト / 西洋史 / 考古学 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、当時の文化浸透のメカニズムを明らかにするために、古代エジプト史における国際文化交流期(あるいは社会的混乱期)として知られる第三中間期に注目し、その中でも特に資料・史料が少なく、実態が不明瞭であるとされてきた第24王朝の状況をバクエンレンエフ王の動向を手掛かりとして見て行くことにある。バクエンレンエフ王はエジプト国内よりもギリシア語名であるボッコリス王として、ギリシア・ローマ世界において広く知られている特異な古代エジプト王であったからである。 本年度(平成26年度)の研究代表者による紙媒体としての研究成果は、「カノポス容器にみる古代エジプト人の死生観」(東洋英和学院大学死生学研究所編『死生学年報2015』リトン、71-88頁)の中の新王国時代後の第三中間期における死生観の大きな変化に関する個所である。 本研究課題の目的達成のために研究協力を依頼している英国スウォンジー大学のトロイ・サグリロ(Troy SAGRILLO)博士を招聘し、2014年9月12日(金)13:30~17:30に、2014年度駒澤大学古代エジプト研究会年次大会(Komazawa University Ancient Egyptian Society Annual Meeting 2014)を開催した。大会当日はサグリロ博士による「第22王朝初期におけるエジプトの外交政策について」(“Egyptian Foreign Policy during Early Dynasty 22”)以外にも、青木真兵氏(大阪観光大学非常勤講師)による「トリポリタニア出土の新カルタゴ語碑文にみられるアムン神」(“Amun of the Neo Punic Inscription in Tripolitania ”)と山下真里亜氏による「古代エジプト第25王朝の神殿からみる懐古主義とヌビア表現」(“Archaism and Nubian Art/Representation in Temples of the 25th Dynasty”)の二本の研究発表がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核の王朝である第24王朝の持つ重要性についての理解を進めるために、前後の(あるいは並立の可能性もある)王朝である第22王朝と第25王朝、及びその直後のギリシア・ローマ期についての研究発表を2014年度駒澤大学古代エジプト研究会年次大会で三人の研究者に依頼した。当該時期の文化的複雑さを確認・理解することが十分理解できる機会となった。 次年度以降の研究協力(招聘講演)についても複数の海外研究者から了承を得ている。予定していたフランスのルーヴル美術館での平成25年度に本研究費で購入した中判デジタルカメラ(ペンタックス645D)を使用した史料収集がパリにおけるテロの影響で延期された点を除けば、研究はおおむね計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は第三中間期を専門とするロンドンにあるエジプト探査学会(Egypt Exploration Society)のクリス・ノウントン(Chris Naunton)博士の来日と未発表原稿に基づいた講演を9月に予定している。その際に、2015年度駒澤大学古代エジプト研究会年次大会(Komazawa University Ancient Egyptian Society Annual Meeting 2015)を開催する。 政情にもよるが、バクエンレンエフ王の石碑が出土しているエジプトのサッカラのセラペウムを訪れる予定である。予算に余裕があれば、本年度断念したルーヴル美術館の資料データ入手を中判デジタルカメラ(ペンタックス645D)を使用し試みる予定である。
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Causes of Carryover |
パリのルーヴル美術館における資料収集の際の渡航費として予定していた予算がテロの影響で使用できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ルーヴル美術館における資料収集の際の渡航費、あるいはエジプトへの渡航費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)