2014 Fiscal Year Research-status Report
「地魚・雑魚」の漁撈活動・利用の史的展開と今後の活用
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25370910
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
橋村 修 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00414037)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地魚 / 雑魚 / 沖縄 / シイラ / 鹿児島 / キビナゴ / 外国人研修生 / かつお節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は全国各地の地魚・雑魚利用の実態に関して、調査研究を進めた。 ・6月には三重県志摩市和具地区を描いた明治期の漁場図の現地調査をおこなった。その際、同月におこなわれた潮かけ祭りにも参加し、神輿船に乗船し沖合の漁場での神事と潮かけ行事を体験し、海女さんたちの信仰や漁場利用について調査をおこなった。また祭事の調査をされていた韓国の研究者と意見交換をおこなうことができた ・前年度に引き続き、地魚利用に関する九州地方の調査を継続した。特に鹿児島県の漁連の地魚雑魚利用・普及の活動について鹿児島県漁連や鹿児島市魚類市場、魚類の移動販売業者の協力を得て調査をおこなった。また、薩摩藩域における19世紀前半の地魚利用と現在との比較調査研究をおこない、キビナゴ、バショウカジキその他の地魚についての歴史民俗に関する論文を公刊することができた。さらに鹿児島県枕崎市のカツオ漁船やかつお節水産加工会社にいる外国人研修生についての調査研究もおこない、12月の東京学芸大学国際シンポジウムで成果の中間発表をおこない、報告書に論文を執筆した。 ・11月には、沖縄県国頭郡国頭村宜名真地区の「フーヌイユ(シイラ)祭り」に参加し、宜名真地区、国頭漁協、国頭村役場の活動を記録し、平成12年13年におこなわれた祭りとの比較をおこなった。 ・研究内容の中間報告として、8月に開催された生き物文化誌学会大会において「地魚利用の歴史現状と課題」のテーマで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各地方では、地魚雑魚の活用普及に関する取り組みが盛んにおこなわれている。そのため、調査研究の協力を得やすい環境にあるといえる。ただし、歴史や民俗の視点からの地魚雑魚利用の多様な側面についての聞き取りをおこなうことや、文書資料・史料の採訪が難しくなっているため調査研究は急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
江戸時代や明治期の風土記や地誌書の類に出て来る地域の魚の利用について多くの地域での研究を進める必要がある。その研究をおこなう際の視点や方法については、26年度の成果論文の執筆整理した。 25年度にも進めた海外事例との比較研究をおこなう。 世間で知られていない地魚雑魚利用慣行について、各地の事例を踏まえた研究書を刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた海外調査を、学務や調査先の事情などのため、おこなうことができなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
8月9月に長期海外調査をおこなう。
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Research Products
(11 results)