2015 Fiscal Year Research-status Report
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25370933
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 睦 千葉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (00312926)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 寒冷環境 / 環境変動 / 周極地方 / 小規模住民集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は英国ケンブリッジ大学スコット極地調査研究所において客員研究員として長期に研修することが可能となった。これにより、当初予定していた国内現地調査を含む当研究計画は予定を大幅に変更せざるを得なくなった。 まず、本研究課題と含む「寒冷環境における環境変動と寒冷地気候を利用した生業に従事する小規模住民集団への影響に関する研究」について、より広域な範囲でケンブリッジ大学の当時研究所を中心に所蔵する文献資料等に基づき継続した。即ち、将来的なテーマとしても掲げてきた、研究対象である氷下漁撈という漁法の周極地方での展開について資料ないし聞き取りによる調査も実施した。その結果としては、氷下漁撈はフィンランド南部を中心にして小規模ながら継続的に実施されていることが確認された。また17世紀の絵画や銅版画に描写されたオランダの絵画(版画)に氷下漁撈の描写があることを見出した。このように、氷下漁撈がかなり以前よりユーラシア大陸全般に展開してきたことを検証することができた。 他方で、同研究所は極地研究に関する文献資料を多数擁するため、より広域のロシア、シベリアを中心とする極地環境・文化研究も並行して実施することができた。 当初予定していた本邦国内における現地調査は実施が困難となったため、研究期間の延長を申請し、ご承認いただいたところである。 平成28年度には、当該現地調査を含めた調査を実施し、また研究最終年度であるため、研究期間全般にわたる成果を取りまとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前項に記した通り、本年度は当初予定していなかった海外での長期研修が可能となったため、最終年度の現地調査と研究とりまとめが不可能となった。その意味で研究の実施は遅れることになったが、当初予定の調査、研究は調査年度を1年延長して実施することをご承認頂いたため、1年の遅れで遂行することを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定の最終年度(平成27年度)の研究計画を概ねそのまま28年度に実施する予定である。 現地調査は調査可能時期が湖沼が氷結する冬季に限定されるため、北海道網走湖と能取湖における現地調査を平成29年1-2月に1週間程度実施する予定である。その期間中には北海道立北方民族博物館において、当該研究課題に関する研究の成果を主要テーマとする講演を行う計画である。 その他の期間中には、当該地域(北海道道東)、や本州の現在の実施地(小川原湖)や過去の実施地(諏訪湖、八郎潟)における氷下漁に関する資料、データを分析しつつ、当該漁法と寒冷環境との関係等より詳細な実施状況についても研究を進める予定である。 また、当該漁法の周極地方(ユーラシア大陸及び北米大陸)における展開という将来的目標についても引き続き情報を収集して研究の展開を図ることとしたい。
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Causes of Carryover |
英国ケンブリッジ大学スコット極地調査研究所において長期研修を実施することが可能となり、当初予定の国内現地調査を含む研究課題の実施が困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究年度の1年延長をご承認頂いたため、平成27年度の研究課題に基づく研究のほとんどを28年度に移行させて実施する予定である。
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Research Products
(3 results)