2014 Fiscal Year Research-status Report
自由貿易体制の進展に対応する国内行政法理論の構築:公益事業と社会保障を中心として
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25380039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 大樹 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90404029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 秀晃 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50600029)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 公益事業規制 / 電力構造改革 / 原子力政策 / 投資協定仲裁 / 政策実現過程のグローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
多角的貿易体制や地域経済統合による自由貿易体制の進展が国内法制度に与える影響の分析を主眼とする本研究の2年目となる今年度は,前年度に引き続き電力・エネルギー関係の分析に加え,国際化・グローバル化と社会保障制度との関係に関する研究を実施した。なお,電力・エネルギー関係では,ドイツで刊行された論文集にドイツ語論文を寄稿し,日本の原子力政策や電力政策の現状を分析した。
行政法学の参照領域の中でも社会保障法では,社会保障協定や外国人に対する社会保障給付のように,以前から国際化関連の論点が議論されてきた。しかし社会保障法は,給付主体としての国家,あるいは給付の内容を形成・決定する国家の民主政の過程との結び付きが強いことから,国境を超えた再分配に関する法理論(グローバル社会保障法)への展開がこれまでなされてこなかった。そこで,近時行政法学において注目が集まっている「媒介行政」という概念を補助線に,国家が再分配を支援する制度形成とその法理論のあり方を検討し,2014年10月に京都大学で開催された国際シンポジウムにおいて,英語で報告を行ったほか(後にDiscussion Paperとしてweb公開),Japanese Yearbook of International Lawに英語論文を掲載した。
また,行政法総論との関係の分析も進めており,今年度は2つの単著(『公共制度設計の基礎理論』『行政法学と主要参照領域』)でその全体像と個別論点の現状を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの分析と国際学会等における報告及び業績の(外国語・外国法媒体を含む)公表を行うことができたため。加えて3年目の課題である行政法総論へのフィードバックについても,2冊の単著でその全体像や方向性を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は行政法総論へのフィードバック作業が中心となり,その際にはこれまであまり分析が進んでいなかった行政救済法や執行の局面にも焦点をあてることとしたい。 今年度の後期より,ADRに詳しい九州大学の入江准教授に分担者に加わって頂いた。入江准教授の知見・分析を踏まえ,国際投資仲裁に関する行政法理論の構築を図ることとしたい。
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Causes of Carryover |
物品費が当初の予定よりやや少なくなったことから,若干の次年度使用額が生じた。。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については主として物品費に計上して使用することとしたい。
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Research Products
(13 results)