2015 Fiscal Year Annual Research Report
医療保障の観点からみた医療専門職の職業遂行の法的規律に関する日仏比較法研究
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25380075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲森 公嘉 京都大学, 法学研究科, 教授 (20346042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療保障法 / 薬剤政策 / 医療提供体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成27年度においては、主に、医師以外の医療専門職に関する法制度として、薬剤師及び薬局制度に関する比較法的検討を行った。このうち、フランスの薬剤制度と薬剤師の役割等に関する研究については、その成果を雑誌論文の形でとりまとめて公表したところである。医薬分業体制が進んでいるフランスでは、薬剤師は独自の公的な組織(強制加入団体としての薬剤師会)と種々の権能を有しており、薬剤政策においても、例えば、後発医薬品(ジェネリック)の使用促進政策において、調剤薬局の薬剤師に後発医薬品の代替調剤権が認められるなど、多くの重要な役割を与えられていることが確認された。 研究期間全体を通じて、フランスでは、医師以外の医療従事者もそれぞれの公的な職能団体(専門職同業団体など)と私的な職業団体(医療従事者の組合など)に組織され、さまざまな自律的な権能を認められており、医療保障政策を進めるうえで重要なパートナーとなっていることが改めて確認された。そして、日本とフランスでは、前提となる法制度や実態などに相違はあるものの、量と質がともに確保された医療保障体制であるためには、医療に従事する当事者間に適切な役割分担がなされることが必要であること、そのためには、各医療従事者の役割を整理して法的に位置づけたうえで、相互の連携体制の構築を考えることが求められること、実効性という点では、各医療従事者の自律的な取り組みにも期待すべきこと、などの結論を得た。
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Research Products
(3 results)