2013 Fiscal Year Research-status Report
現代日本政治ナショナリズムの特色及び普遍性――「日本会議」における宗教系組織
Project/Area Number |
25380153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
T Guthmann 三重大学, 人文学部, 教授 (30335111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本政治 / ナショナリズム / 日本会議 / 宗教系組織 |
Research Abstract |
平成25年度の研究実績は主に以下の3つである。 1.現代日本国粋主義組織及び思想の網羅的な調査を実施した。具体的には靖国神社遊就館の売店で国粋主義組織がこれまでに発行した書物、DVD等を46点を購入した。それらの内容を検討した結果、現代日本における政治ナショナリズムの主な思想的特徴が把握できたと思われる。 2.現時点では日本会議を実際に動かしている管理職とのインタビューを実施できていないが、皇學館大学教授の新田均とのインタビューを通じて日本会議に関する内部情報を数多く獲得できた。そして、報告者自身が日本会議正会員になることで、会員に送られてくる雑誌、ネット情報等を入手することができた。また、日本会議全国総会、三重県支部総会にも出席し、参加型調査を通じて日本会議を内側から考察中である。 3.「日本会議関係者」を対象に網羅的な調査も進めた。具体的には23の団体に手紙を郵送し、インタビュー依頼を行った。対象団体の一覧は次の通りである:霊友会、新生佛教教団、念法眞教、崇教真光、解脱会、黒住教、佛所護念会、モラロジー研究所、大和教団、倫理研究所、生長の家、キリストの幕屋、伊勢神宮、明治神宮、熱田神宮、伏見稲荷大社、オイスカ・インターナショナル、谷口雅春先生を学ぶ会、熊野本宮大社、和宗総本山四天王寺、天台宗、日本医師会、出雲大社。その内、実際にインタビューを実施できたのは6団体であり、電話・手紙・メールで返事・説明を得たのは12団体からである。その調査を通じて得た情報を現在分析中であるが、特に研究の副目的である宗教とナショナリズムの関係という問題に関して非常に有意義な内容が含まれていると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究には2つの目的がある。以下、それぞれの目的の達成度を1年目の「研究実施計画」にも照らしながら評価する。 1.主目的の達成度:日本会議を実際に動かしている管理職とのインタビューの実施以外は、予定していた日本会議関係者とのインタビューを実施でき、また日本会議以外の国粋主義的な思想の正体も把握できたと思われる。結果、現代日本における政治ナショナリズムという現象の全体像が掴めつつあると思う。 2.副目的の達成度:現時点神道系組織とのインタビューをまだ実施していないが日本会議に所属している新興宗教の代表のインタビュー及び電話調査を通じてそれらの団体と日本会議との思想的な親しさ、日本会議への所属の動機等は明らかになりつつあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上で大きな障害はなく、予定通り今後の研究の実施が可能である。具体的には次の研究内容を予定している。 日本会議国会議員懇談会のメンバーは2005年8月の時点で158人だった(2014年の正確な人数は不明)。その中には民主党議員も存在し幅広い政治家の顔触れになっていた。懇談会メンバーの全員に手紙や電話で連絡し、面会を依頼する。インタビューを引き受けた政治家達への質問は主に2点に集中すると予想される。1つは、幾つかの質問を通じてその政治家が思想的に日本会議とどの程度近いかという点である。もう1つは、その政治家が日本会議に関して抱いている思い及び入会の動機という点である。 インタビューを受ける政治家の警戒心を弱めるために、否定的な印象を与える「ナショナリズム」という言葉を用いない。代わりに、肯定的な印象を与えるために、次のような文句によって自らの研究テーマを紹介するつもりである。「現代アメリカ、フランス、日本における保守の国際比較。」) そして国会議員とのインタビューと並行して、引き続き日本会議主催か共催の集会・イベントにも参加し、参加者の思い・動機等について尋ねたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本会議関係者のインタビューで、当初予定していた数よりも実際に実施できたインタビューの数が少なかった。その結果、旅費は当初予定していたより少なかった。 その額を日本会議所属団体である明治神宮等神道系組織の代表及び日本会議を実際に動かしている管理職のインタビューの実施のために利用する予定である。
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Research Products
(1 results)