2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル経済下における排出権取引制度の理論的研究
Project/Area Number |
25380334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
河原 伸哉 立正大学, 経済学部, 准教授 (50447207)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境政策 / 排出量取引 / 環境税 / 開放経済 |
Research Abstract |
本年度は、まず、本研究の実施にあたり、事前調査として行ってきたグローバル経済下における環境税の効果に関する研究成果を”Trade, Environment, and Market Access: Policy Reforms in a Small Open Economy”として、Environment and Development Economics誌に公刊した。その上で、排出量取引に関するモデル構築の準備段階として、環境経済学・政治経済学・理論経済学における既存研究を包括的に検討した。その上で、排出量取引など環境政策を分析するための基本モデルを構築し、数量的規制手段である排出量取引を、価格による規制手段である環境税と比較検討し、グローバル経済下においてそれらの政策手段が一国の経済厚生にどのような効果を与えうるのかについて検討した。得られた研究成果を”Price and Quantitative Restrictions of Trade and Environment in an Open Economy”として論文にまとめ、立正大学『経済学季報』誌に公刊した。上記の研究成果によれば、排出量取引など数量規制は、環境税など価格規制と比べて、国際価格の変化を通じた負の効果が生じないため、一国の経済厚生を改善させるような政策の実施が容易となることが示された。さらに、上述の基本モデルを拡張し、政治経済的要因や分配の問題をモデルに導入した場合の排出量取引や環境税の均衡における水準の決定に関する研究を行い、国内研究会などにおいて研究成果の報告を行った。その際得られたコメントなどをもとにモデルの改善・修正を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、開放経済下における排出量取引制度について、政治経済的要因の存在下で、他の政策手段と比較検討することにより、その効果を分析することにある。本年度の研究実施計画の主目的の一つは、排出量取引の経済効果について、既存研究を十分に検討した上で、幅広い視点から検討することであり、そのような目的はある程度達成されたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
先述のとおり、本年度においては排出量取引の経済効果について既存研究の十分なレビューの上で幅広い視点から検討を行った。今後は、基本モデルを拡張することで、政治経済的要因を導入し、政策の効果について改めて詳細な理論分析を行う。その上で、環境税など他の政策手段の存在も考慮に入れた上で、排出量取引との政策効果の相違点などについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先述のとおり、今年度の研究課題の実施においては、既存研究の検討とモデル構築に重点を置いたことから、研究課題は概ね予定どおり実施できたが、特に消耗品など物品費の使用が予定を下回ることになった。 次年度は、今年度の使用を予定していた印刷装置やソフトウェアなど物品費の使用を早い段階で実施する。
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