2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380347
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
山村 英司 西南学院大学, 経済学部, 教授 (20368971)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Social capital / 幸福度 / 自然災害 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画では、本研究の目的として、日本の個人レベルのデータと県レベルのデータを接合し、これを利用することにより、震災などの自然災害への対処を考察するとしていた。とりわけ、この政策的な課題に対して、コミュニティーや社会的ネットワークを包含するSocial capital(社会関係資本)の形成過程やその役割を分析することが主要な課題であった。 平成27年度は、大阪大学で収集したパネルデータを利用することにより、Social capital(社会関係資本)の一つである他者への信頼度が個人の幸福度へ与える効果を検証した。その結果、次のことが明らかになった。(1)一般に社会的信頼度が高ければ、個人の幸福度が高まる、(2)東日本大震災が起きる前よりも、震災が起きた後の他者への信頼度は高まる、(3)被災地では信頼度が幸福度に与え効果は震災後のほうが大きかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究概要」で記したように、東日本大震災発生後に社会的信頼が幸福度に与える効果が大きくなることが明らかになった。人々の絆の重要性が震災後に指摘されたが、これを厳密に検証した研究は少ない。個人レベルのデータを利用して統計的にこれを明らかにしたことが学術的な貢献である。本研究の成果は厳格な査読審査を経て、国際的な学術誌であるSocial Indicators Researchに採択され、掲載予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきた震災とSocial capitalの形成、さらにSocial capitalが幸福度に与える役割を、有機的にまとめあげる。
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Causes of Carryover |
研究初年度に集中的に予算を消化したために、研究計画を上回る支出があった。来年度は研究成果をまとめると同時に、今後の研究のための基礎的な準備に費やす予算を確保する必要性があった。このために、本年度は極力支出を抑制し研究を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を国際的な学会で報告すると同時に、海外の研究者との学術的な交流を進め、研究成果の国際的な発信を行う。この為に、海外出張への旅費などに重点的に予算を配分する。
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