2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380370
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Research Institution | Shobi University |
Principal Investigator |
神野 真敏 尚美学園大学, 総合政策学部, 講師 (10533648)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移民 / 未熟練労働者 / 同化コスト / 年金方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代が負担する同化コストを考慮し未熟練労働者を受け入れた場合の効果を分析したJinno(2011)を拡張し、労働の代替性・補完性、および未熟練労働市場における失業を考慮したモデルの構築、日本経済に応用したシミュレーション分析を行うことである。 本年度は、年金制度の方式に注目し、保険料率一定方式、給付額一定方式、給付率一定方式(給付基準対象が異なる2方式)の4方式の違いによる移民受け入れの効果の比較を行った。保険料率一定方式とは、労働期における保険料率を一定に保つ方式であり、引退期世代が得られる年金給付額は、出生率と賃金成長率に依存するものの、現役世代の負担率は一定に保たれる。そのため、高齢化が進んだとしても現役世代の負担は変化しないことが考えられる。給付額一定方式では、引退世代に支払われる年金給付額が固定されるため、現役世代の保険料率は、その給付額に応じて変化することになる。この場合、高齢化が進むほど、現役世代の負担率は高まることが考えられる。給付率一定方式も、給付額一定方式と基本的には同じような特徴を持っているが、給付額の対象が自分の支払った保険料になるか、現役世代の賃金率になるか、その給付基準の対象が何になるかによって、現役世代の負担率は変化することが考えられる。 以上のように各方式の特徴を考慮したうえで、同化コストを負担する移民者の受け入れる効果を方式ごとに分析し比較検討した。数値例を用いた分析結果から、受け入れ者数を増やすほど純便益が改善するという傾向が、給付率一定方式2においてみられ、自分の賃金に依存するように年金が支給される方式による運営が望ましいことが導かれた。 この研究成果は、尚美学園大学『総合政策論集』第21号、pp.35-pp.58に収められている(査読無)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果は上がっているものの、本来の労働の代替性・補完性、および未熟練労働者市場における失業を考慮したモデルの構築、および日本経済に応用したシミュレーション分析ができていない状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Jinno(2011)とKemitz(2003)を融合したモデルの構築、それを日本経済に応用したシミュレーション分析を行えるようなプログラムの開発を考えている。
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