2015 Fiscal Year Research-status Report
トヨタ生産方式における賃金と連動した原価・能率管理体系とその進化に関する調査研究
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25380426
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 耕一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (00235649)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トヨタ自動車 / 生産性給 / 原価・能率管理 / 生産性向上活動 / 生産管理 / 労使関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の当初予定は過去2年間の調査研究をまとめ、論文化、さらには研究成果を単著書として出版するための原稿作成を行なうことであったが、前年度に治療を受けた病気が再発して11月および12月と2度の手術を受けるなどしたため、研究が滞ってしまった。平成27年度までに実施できた調査研究の到達点と残された研究は以下のとおり。 ①トヨタ自動車の原価・能率管理についての生産管理部に対する聞き取り調査は平成26年度に終了し、2004年の技能系賃金制度の改定内容および労使間協議の内容についての人事部及び労組への聞き取り調査は平成27年度に終了し、調査結果をまとめる段階にある。ただし、トヨタ自動車の労使は平成28年7月に新賃金制度を導入することを決定しており、研究テーマに照らしてこの調査研究が必要になった。 ②今年度もトヨタ紡織特別顧問の好川純一氏や元トヨタ自動車生産管理部査業課主査等のトヨタ生産システムに関する講義を組織し、この講義によって調査結果を理解するのに有用な知見を深めた。講義内容は記録してあり、出版用に編集する予定である。 ③研究成果の論文化はできなかったが、平成27年6月9-12日のパリで開催された自動車産業の国際学会の年次大会および平成28年3月26-27日に東京大学で開催された進化経済学会年次大会において調査研究の成果の一部としてトヨタ自動車における生産性給と生産性向上活動との関連について口頭で発表し、参加者との議論を通じて本研究の意義を確認した(報告テーマはThe Change in the Wage System and its Impact in the Production Management at Toyota: the End of Ohno-ism?)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度までに基本的な調査研究は終了しており、研究成果をまとめる段階であるが、平成26年度に発症した病気が同年後期における治療にも関わらず再発し、11月および12月と2度の手術を受けるような状態で、研究のまとめ、論文化を予定どおり進めることが出来なかった。過去の調査研究を整理検討することによって得られたな新たな知見は以下の事実である。 ①トヨタ自動車の能率管理は大野耐一氏が歩合制度として導入したものであり、製造現場の生産能率をもとに歩合(生産手当支給率)を決定し、また能率の把握を通じて生産管理を行うものであった。これは先行研究が明らかにしていたが、大野氏が在籍していた時代の歩合の決定や能率向上目標の設定は歩合会議においてインフォーマルな方法で行なわれていた。能率管理が生産性評価制度としてフォーマルな仕組みになるのは、1988年に歩合会議を生産部門会議に改組してからのことであった。 ②生産手当(歩合、生産性給)を含む賃金制度は1987~91年のバブル期に労使で再検討し、1990年、1992年、1993年、2004年と見直しが行なわれたが、先行研究では十分に明らかにされていなかった改訂内容も明らかにすることが出来た。特に、2004年の改訂は、大野氏が導入した生産手当制度と連動した能率管理を廃止するものであったが、しかし、生産管理の仕組みはすでに1992~93年の賃金制度改定時に変更されていた。2004年の賃金制度改定は生産性給の決定方法の変更以外に仕組みの変更は無く、2011年になって生産性評価制度が見直され、1992~93年の仕組みが修正された。 よって、次年度の研究によって以上の内容の仔細を論文化する必要がある。さらに、トヨタ自動車の賃金制度については2016年7月に新制度が導入されることから、この新賃金制度の調査が必要になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究期間の延長を認められたことから、延長申請の目的にあるように、平成27年度までの調査研究をまとめ、論文化するとともに、研究成果を単著書として出版するための原稿作成を行なう。また、7月に導入される新賃金制度についてトヨタ自動車の人事部と労組に対して新賃金制度導入の理由とともに聞取り調査を行なう予定である。 なお、健康面では平成28年7月に病気治療のための入院が予定されているが、今年度の研究推進に支障はなく、予定どおりの成果をあげることができるものと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、病気の再発によって研究を予定どおり遂行することが出来なかったために、次年度に研究を実施し完了させなければならなくなったことにある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に繰り越された研究費は、追加的な調査旅費とテープ起こし、研究成果の発表のための研究会・学会参加旅費、海外学会報告用旅費、論文作成・投稿費用等に使用する。
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Research Products
(2 results)