2015 Fiscal Year Annual Research Report
日系企業の環境変化適応と広報機能:広報人材・組織論的アプローチによる実証的研究
Project/Area Number |
25380456
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮部 潤一郎 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 研究員 (60374641)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 広報人材 / 広報組織 / 戦略広報 / 戦略実行 / 組織コミュニケーション / 広報効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
企業活動の展開において広報・コミュニケーション活動の重要性は近年、喫緊の課題としてますます広く認識されてきている。グローバル化、ICT化の急速な進展を背景として、企業行動は複雑さを増している中で、ステークホルダーとのコミュニケーションは学術的研究においても実務的な課題としても早急に取り組むべき課題である。本研究は、わが国企業の広報・コミュニケーション機能について、それを主管する組織と人材に注目して実証的な接近を試みた。本邦企業の広報関連人材の人事異動記録を2000年1月1日~2014年12月31日までの15年間につきデータベース化した。また、ダイヤモンド社会社職員録から広報人材と広報組織に関する情報集約を行った。本研究ではこれらのデータベース構築を主たる研究活動として取り組んだ。当初の目標を達成し、最終年度ではこれらのデータを活用した分析を行い、概略次の観察結果を得た。 ・社外から確認し得る部レベルの広報部門の設置は1970年代から進展する。1990年代から部署名が多様化し、IR、CSRといった機能が部署名に表れる。 ・広報部長、広報担当役員の過半は新卒時採用で当該企業でのキャリア形成の中で当該役職に就いている。 ・広報部長、広報担当役員の在任期間は概ね2年半で、社内の幅広い部署との間で転入、転出がなされている。 これらの結果から仮説として、①広報責任者はその企業に長く勤め、企業理念を深く理解し、様々な職務を通してそれを実践した経験を豊富に持つ。②長い業務経験を通して社内に緊密な人的ネットワークを持つ。③幹部人材のキャリアにとって、多様な業務経験の中で広報部門は一つのステップに過ぎない。換言すると社内の様々な部署に広報業務の経験者が存在する。広報人材のHRMは欧米企業と顕著な違いがあるが、これが企業の広報・コミュニケーション活動にどのように影響するのかが次の課題である。
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