2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380493
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara Sangyo University |
Principal Investigator |
森元 伸枝 奈良学園大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70636422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 信 日本大学, 経済学部, 教授 (90337824)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 人材育成 / 産業集積 / 地域産業 |
Research Abstract |
平成25年度は、産業集積論を主たる理論的基盤とし、地域産業、人材育成に関する文献研究から新たな視点の確立をしつつ、神戸の洋菓子職人や企業経営者へのヒアリング調査、インタビュー調査などフィールドワークを中心に行った。その結果、創業時に同じ規模であっても店舗が企業へと規模を変化させていく要因は、顧客の嗜好の変化や原材料の供給システムの変化といった環境の変化もあるが、利益のために販路拡大を求めた店舗(企業)、多様な労働雇用形態を求めた労働者、技術・技能の向上を求めた業界の戦略に関わっており、地域産業における継続的成長にむけた協働には、企業規模の変化に応じた人材育成システムがなされていることを明らかにした。 平成25年度の実績は、論文1件、研究発表2件(ポスターセッション1件、学内学会発表1件)の合計3件である。 神戸の洋菓子業界における職人は、顧客の要求に応えた商品づくりをするので、顧客の変遷を追うと、業界の生産様式にも変化を起こし、工業製品、稀少価値、ハイブリッドのバリエーションを生み出した。しかし、そうした、生産様式の変化には、職人の労働契約の側面があり、それは企業側の戦略でもあることを発表した。新しい知見として、地域産業が長期的に成長する業界の要因には、雇用契約という取引コストが存在することを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、地域産業における長期継続的成長を構築させる協働のビジネス・システムについて明らかにすることであり、平成25年度は、研究期間の前半の課題にしている文献・資料整理を主として行ってきた。まず、地域産業、中小企業、人材育成に関するジャーナルのフォローを行い、神戸の洋菓子企業および業界に関する史資料の収集ならびに分析を行った。また、理論研究として、これまでの産業集積論では明らかにされていない枠組みの精緻化を中心に行った。 そして、店舗から規模を拡大した企業において①人材育成のあり方、②ネットワークの構築と変遷、③利害関係に関わる価値連鎖の形成を明らかにするために、インタビュー調査などフィールドワークを中心に行った。その際、洋菓子の本場である欧州の変遷は、地元密着型の店舗か世界中に輸出する大手企業規模は存在するが、神戸のような複数の中小企業規模が地域に存在することはなく、海外の人材育成システムは国や地方が制度として行っているという情報を得る。詳細なデータを収集することで、店舗規模の変化と人材育成の関係について明らかにしようとしたが、現地でのデータ収集にもかなり困難であることが判明した。この件に関しては、次年度への継続課題とする。 研究に関しては、研究協力者に話を聞いてもらい、研究会などで研究成果の内容に関しての討議は2か月に1度の割合で行ってきたが、ペーパー作成に至っていないところに、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、制度派組織論、比較制度分析、産業集積論を理論的基盤として、地域産業における長期継続的成長を構築させる協働のビジネス・システムについて明らかにしていく。 平成25年度のヒアリング・インタビュー調査で得た情報より、残っている課題に取り組む。また、他地域におけるフィールド調査を展開することで、地域の規範的要素や社会構造が地域産業における継続的成長に向けた協働にどのような戦略的影響があるのかを明確にする。 これらは研究協力者、および関連する領域の研究者が会する研究会にて、ワーキングペーパーをもとに研究成果を報告し、今後の展望を総括する。また、分析結果を通じ、問題点を析出し、必要に応じた補充調査を行う。 これらの成果は、ディスカションペーパー等に随時まとめていく。また、理論研究においてもレビュー論文を作成しまとめて、包括した研究論文にしていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールドワークを行った際、洋菓子の本場である欧州の変遷は、地元密着型の店舗か世界中に輸出する大手企業規模は存在するが、神戸のような複数の中小企業規模が地域に存在することはないこと、、海外の人材育成ステムは国や地方が制度として行ってるということを情報として得ることができた。規模の変化と人材育成に関して興味深い内容であるので、洋菓子関係者に詳細なデータ等が必要であることを相談した。現地に行けば情報が得られるかもしれないとのことであったので海外出張を予定する。ところが、平成25年度の予算には外国旅費を計上していなかったので、謝金は自費で支払、パソコンならびに関連商品は借りることで購入を控え、旅費を捻出しようとした。しかしながら、洋菓子関係者が現地で問い合わせてくれたところ、現地に来ても短期間での情報収集は困難であろうということであった。海外出張を取りやめた分が残った形になった。 パソコン関連商品(パソコン、外部ディスク他)に関しては、26年度に購入させていただく。
|