2014 Fiscal Year Research-status Report
大企業が技術調達のために行う研究開発型ベンチャーの買収に関する研究
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25380499
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 克也 東京大学, 産学連携本部, 特任教授 (20409759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 岳人 東京大学, 産学連携本部, 助教 (20573728)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ベンチャー企業 / オープン・イノベーション / イノベーション / インキュベーション / 産学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イノベーションを起こす主体が、大企業の社内組織からベンチャー企業や大学を中心としたイノベーション・エコシステムに大きくシフトしているという前提に立ち、大企業が技術調達のために行う研究開発型ベンチャーの買収に関する研究を通して、イノベーション促進のメカニズムを解析するものである。そのために本研究では、ベンチャーの資本構成や組織形態とEXIT戦略との関係を分析すると共に、東京大学関連ベンチャーのデータベースを活用して、産学連携を通して生み出されるベンチャーの調査研究を行い、また、ベンチャーの買収や成長に影響を与える要因として、起業家のネットワークやインキュベータ等の支援環境の分析も合わせて行う。また、買収する側の大企業に関しては、特に日本企業での研究開発型ベンチャー買収の障害要因を分析研究する。 本年度は、主に東京大学関連ベンチャーの調査研究を行った。一般に大学関連のベンチャーは、特許に守られた基盤技術に立脚した狭義の大学発ベンチャーと、基盤技術よりもむしろビジネス面での新規性、独自性がキーとなる広義の大学発ベンチャー(この範疇にはいわゆる学生ベンチャーも含む)とに大別されるが、東京大学関連ベンチャーではこの2種類のベンチャーのどちらもがイノベーションに寄与しており、それぞれに一定のイノベーション・エコシステムを構築していることなどがわかったが、東京大学関連ベンチャーでは大企業による買収のEXITに至ったものの数が少なく、さらに広範囲の調査が必要である。これらの調査研究を通して、インキュベータ、アクセラレータ、エンジェル投資家などとのインタビューによる調査も進めることができ、また大企業内の研究者のイノベーション力に関しても事例調査により現状を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカのベンチャー企業の資本構成や組織戦略とEXIT戦略との関係の分析はやや遅れ気味であるが、日本のベンチャーに関しては、東京大学関連ベンチャーに関してインタービュー調査やジャンパン・ベンチャー・リサーチ(JVR)のデータも加味した分析は当初計画以上に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きベンチャーの資本構成や組織形態とEXIT戦略との関連性の解明に努めるとともに、東京大学関連ベンチャーについての事例分析も進める。また、大企業側のオープンイノベーションに対する体制の分析や、起業家ネットワークやインキュベータや投資家等の支援環境の分析も合わせて行い、企業のイノベーション力分析に発展させる。
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Causes of Carryover |
当初予定していたデータベースへのアクセス等が、当初予算よりも支出額を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コンフェレンス等での情報収集、およびデータベースを用いた分析を充実させて研究計画の加速を図る予定である。
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