2013 Fiscal Year Research-status Report
繊維産業における国際的企業間分業及び生産技術の蓄積・発展に関する研究
Project/Area Number |
25380513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
木野 龍太郎 福井県立大学, 経済学部, 准教授 (40405072)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 企業間分業 / 技術経営 / 繊維産業 |
Research Abstract |
2013年度は主に日本の繊維産地の企業を対象として、これまであまり調査が行われなかった小規模企業を中心に調査を行った。従来は、製品開発の機能を持たず、大企業である原糸メーカーや繊維商社の系列下請企業として、その指示の下で受託加工を行い加工賃収入を得るという、いわゆる賃加工形態の企業が多く見られていた。しかしグローバル競争のなかでそうした企業は競争力を失い、廃業が続いてきている。一方で、そうした大企業の系列から離れ、規模の小ささを活かして差別化された製品の開発・製造を行い、需要に柔軟に対応することで、高級アパレルブランドを中心とした衣料品メーカーとの取り引きを行うことで生き残っている企業が見られている。また、こうした企業のなかには、衣料品から産業資材へとシフトし、特殊な製品を開発・製造することで高い競争力を持っている企業も存在することが明らかになった。 また従来の繊維産地の企業においては、多くの場合繊維産地内で完結的に生産を行い、産地内の企業はその工程の一部を担当するという分業体制が取られていた。そこでは産地内で企業が相互に連携し技術を高めてきたが、関連企業の廃業が続くなかで、産地内で生産を完結させることが難しくなってきている。また、技術の高度化が進みやや頭打ちになるなかで、従来の産地内分業による分業体制では、新製品の開発・製造に限界があることから、2000年前後から産地を越えた連携が行われており、従来にない製品の開発・製造が行われていることが明らかになった。このことを「産地間連携」として定義づけた。 本研究は、日本の繊維産業における企業間分業構造の変化を明らかにしており、日本のモノづくりにおける競争力を考察するうえでも、非常に意義がある研究であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では当初、産地内連携を前提とした調査を計画していたが、調査が進むなかで、産地を越えた連携が行われていることが明らかになり、調査対象の企業も日本全国に渡り、当初予定して以上に多くの知見を得られることとなったが、一方で調査に時間と手間がかかることとなり、当初予定していた川上・川中・川下の垂直的連携に関する調査がやや手薄になってしまった。調査が進展した部分と手薄になった部分の両方があることから、現時点ではこのような評価となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の点も踏まえ、繊維産地内の連携を前提とした調査から、対象を広げて調査を行うことが出来るように、全国規模の展示会などへの参加を通じてネットワークを拡大し、実態調査へとつなげていく。一方で、既にある程度のネットワークを持っている産地内での垂直的連携についても調査を継続し、多面的な調査を行っていくこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたよりも、旅費・音声起稿の費用が嵩み、購入を予定していたノートパソコンなどの物品購入を見合わせたことから差額が発生している。 次年度にはノートパソコンなどの機器を購入し、研究会・学会などでの報告に活用する予定である。
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