2014 Fiscal Year Research-status Report
男性正規雇用労働者のワーク・ライフ・バランス(WLB)問題への意識調査
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25380521
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 恭子 芝浦工業大学, その他の研究科, 准教授 (20600638)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 役割の代替性 / role / role identity |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度の遅れを取り戻すべく、①男性正規雇用労働者へのインタヴュー、②インタヴュー結果の質的分析、③理論モデルの構築、に焦点を絞って作業を行った。結果的には13名の正規雇用労働者へのインタヴューが実現し、彼らが育児や介護の休暇制度に対しどのような意識を持っているのかについて深く追求することができただけでなく、多くのインタヴュイーの間で共有されている判断基準があるのではないかということがわかった。これらの共通した判断基準は、「役割を他人が代替できるか」という視点から構築されており、この基準をrole identityという理論フレームワークを用いて分析した。これらのいくつかの発見について、2015年に開催される日本労務学会の第45回全国大会(於:法政大学)で発表する機会を得、発表要旨集への投稿も完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の大幅な遅れについては今年度で取り戻せている。しかしながら、質的調査(インタヴュー)についてはOpen-ended形式にて行ったため、今後の質問票の作成につなげられる形には落とし込めていない。インタヴューをして改めて気づいたことであるが、WLBの諸制度については、家族構成(独身か既婚かだけでなく、離婚や入籍していない等のケースもある)だけでなく、インタヴュイーの年齢や勤続年数、職位によって該当する質問としない質問があるため、全員に一斉に配布できる質問票の作成が難しい。更なる問題は、「無意識」について調査をしたい場合の調査方法が難しいという点である(例:「意識していますか?」という質問はできても、「無意識ですか?」という質問は出来ない、等)。今後の進め方については次項に記す。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、WLBに関する質問はインタヴュイーにより該当する質問としない質問にばらつきがある。また、無意識について訊ねる工夫も必要である。今後は、インタヴューの振り返りを十分に行い、どのような立場にあっても該当する質問(軸となる質問)から、対応によって発展させていく形をパターン化する、無意識について掘り起こす過去の研究を当たるなどして、この問題を解決していきたいと考える。
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Causes of Carryover |
当該年度については概ね予算額通りの実行になっているため、差額は初年度の差額を反映したものと理解している。また、本件申請時より拠点が移り(群馬県高崎市⇒東京都)、交通費を含む出張費をほとんどかけずにインタヴューを行えるようになったことも差額に影響していると考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に行ったインタヴューを受けて、再度インタヴューを実施することでサンプル数を増加させたいと考えている。 インタヴュー謝金(900円×1.5=1350)+交通費(概算で700円)+インタヴューお越し役務費(60分15000円程度)を10~15名程度で170000円~250000円の支出を計画している。
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