2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380538
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田路 則子 法政大学, 経営学部, 教授 (00322587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 優 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20511281)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 起業家活動 / ソーシャルネットワーク / ソーシャルコンピテンシー / メンター |
Outline of Annual Research Achievements |
起業家活動は、ソーシャルネットワークに埋め込まれている。(Burt, 1992; Hansen, 1995)。本研究の目的は、起業家のソーシャルネットワークが大きいほど、ビジネスが成長することを、東京におけるWEBやモバイルビジネスの領域で確認することである。Zhao, Frese and Giardini (2010)が中国の北京における調査で実証したフレームワークに準じながら、個々の変数には、先行研究に則った尺度にオリジナルな尺度も開発して加えた。 調査対象は、東京に本社をおくWEBやモバイル関連のサービスを提供するスタートアップである。2012年4月~12月にオンラインの質問票調査を行った。1000社にメールを送信し、有効回答数143を得た。2年後に成長と生存の確認をWEB等の公開情報から行ったところ、114社を追跡することができた。そのうち創業2004年以降の89社に絞った。モデルはネットワークのサイズを従属変数とする多重回帰分析と、成長を従属変数とするロジスティック分析からなる。成長の定義は、2年後に従業員数が2倍以上かつ30人以上になっていることとした。 H1: ソーシャルコンピテンシーとネットワーキングは、知己ネットワークサイズを高める。H2: ソーシャルコンピテンシーとネットワーキングは、ビジネスメンター数を高める。H3: 知己ネットワークサイズが大きいほどビジネスは成長する。H4: ビジネスメンター数が多いほどビジネスは成長する。 これらの仮説は支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実施した探索的な定量調査の分析結果を基に、若手起業家の起業家活動のプロセスを再考し、さらに、当時のサンプルへの再調査を実施することが目標だった。スタートアップの成長や失敗を確認できる時期に達していると想定していたところ、実際の26年度調査では、成長は15%、倒産や解散は20%、生存は65%という結果が得られた。成長性とネットワークの関連をしらべたところ、ビジネスメンターと知己の規模というふたつのネットワークの要素が成長を促進していることがわかった。しかし、2段階のモデリングをおこなうために、サンプルが多く必要となり、この結果は日本に限られた。米国はサンプル数が少なすぎるために、統計的に有意とならなかった。 ケース作成は、エニグモ社の教育ケースを作成して公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
成長性に影響を与える変数を探るために、成長したサンプルと成長していないサンプル間で、変数の平均値の差の検定を行う。個人特性、起業家固有の要因、経営チーム、戦略構築力(標的市場や他社との差別化)、資金調達について、差異がみられるかどうかを検証する。 米国の事例として、Linkedin社のケース作成を完成させる。
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