2013 Fiscal Year Research-status Report
国際比較分析に基づく不動産投資法人の原則主義的財務報告基準と論理の帰納的導出
Project/Area Number |
25380590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
近田 典行 埼玉大学, 経済学部, 教授 (20245161)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不動産投資法人 / 原則主義 / IFRS / NAREIT / FFO |
Research Abstract |
今年度は、国際比較研究の柱とすべく、不動産投資の歴史的経緯、不動産投資企業の数や投資規模の大きさなどから米国における当該事業法人に対する諸制度を分析した。 その中で、国での不動産投資法人に関わる会計情報開示に対する独自の試みが存在することから、まず、本研究の調査対象として米国における不動産投資法人の会計実務の実態のサーベイを行った。具体的には、不動産投資信託、特に、米国で主流のエクイティ・リート形態の業績開示問題について、その歴史的経緯ならびにNAREIT、NCREIFや国際会計基準審議会(IASB)と共同作業を行っている米国財務会計基準審議会等による取組みについて考察した。 REIT業績の測定と開示に関しては、米国での特徴的なディスクロージャーであるFFO(funds from operations)の開示に関する研究成果について検討し、特に、1991年NAREITにより行われた「一般に認められた会計原則」の下で算定された純利益によるREIT業績の測定・開示に関する問題点を整理し、リート業界全体にわたる補足的開示基準を促すためにFFOの意義について検討された報告書等を取り上げ考察した。 具体的には、2001年4月26日公表のNAREITによる「FFO白書のディスクロージャー」と題する「協会方針の広報」に示されたFFOによるディスクロージャー・モデルをベースとして、GAAP利益の調整項目であるREIT業績開示上での減価償却の取り扱いの問題などについてキャッシュ・フロー修正Jonesモデル等をもとにその有用性について考察した。当該米国における不動産投資企業の会計情報開示の検討作業は、関連団体独自で行われている点で昨今の基準設定のあり方を投影するものであり、そこでの議論の変遷や会計フレームワークや計算構造的ルールを丹念に追う意義とその効果は高いとの観察が行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国における不動産投資法人の財務情報の開示に関する会計基準の提案を中心にヨーロッパにおける同開示実態との比較を行う中で、文献収集も、現地調査も計画通り行うことができたことにより、本年度の主要課題であった米国における不動産投資事業体の会計情報の開示実践並びに基準策定過程がサーベイできたこと、そして、当初想定していた調査アプローチに揺らぎが生じなかったことで特段その修正業務が課されることなく、ストレス・レスに研究がすすめられたことによりおおむね順調に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
単純な比較分析前の整理という作業から、実質的な分析へ移行する。具体的には、干渉要因となるそれぞれの国における法制度や税制度に関しても照応させながら、Mark-to-Marketの会計を基礎にして、会計基準の概念的フレームワークを不動産投資企業に当てはめて、その適合性・合理性などを考察する。また、会計基準に関するコア基準としては、投資の国際的な情報インフラとして機能することを意図するIFRSの指向や論理を据え(ただしそれを無批判に受け入れる意図はない)、それと検討対象となる米国やカナダ、豪州などの諸外国における開示実態・適用ルールなどを精査、比較分析を行う。
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