2014 Fiscal Year Research-status Report
国際比較分析に基づく不動産投資法人の原則主義的財務報告基準と論理の帰納的導出
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25380590
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
近田 典行 埼玉大学, 経済学部, 教授 (20245161)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 投資不動産 / REIT / 現在価値 / 公正価値 / 剥奪価値 / FFO |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、前年度の米国の研究成果を踏まえ、同時に現地調査を行う予定のカナダでの成果を踏まえて、豪州での同様の調査を行う計画でああったが、テロ事件等の影響で米国以外の調査は次年度へ繰越となっている。 米国での調査は、米国で主流のエクイティ・リート(Equity REIT)形態の業績開示問題について、その歴史的経緯ならびに全米不動産投資信託協会(NAREIT)、NCREIFや国際会計基準審議会(IASB)と共同作業を行っている米国財務会計基準審議会(FASB)等による取組みの存在についてサーベイした。具体的には、REIT業績の測定と開示に関しては、米国での特徴的なディスクロージャーであるFFO(funds from operations)の開示に関する研究成果について検討した。 加えて、単純な比較分析前の整理という作業から、実質的な分析へ移行するため、具体的には、干渉要因となるそれぞれの国における法制度や税制度に関しても照応させながら、Mark-to-Marketの会計を基礎にして、会計基準の概念的フレームワークを不動産投資企業に当てはめて、欧米の実証研究の成果を踏まえて、その適合性・合理性などを考察した。また、会計基準に関するコア基準としては、投資の国際的な情報インフラとして機能することを意図するIFRSの指向や論理を据え(ただしそれを無批判に受け入れる意図はない)、それと検討対象となる米国などの諸外国における開示実態・適用ルールなどを精査、比較分析を行った。 現時点では、文献調査をターゲットとして、米国・カナダ・欧州の国際比較分析を行い、不動産投資企業に係る一定の会計基準とそこに内在する会計的論理を帰納的に抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外調査に関して、テロ事件などの影響でまだ実施できていないものがある。その点で若干遅れている部分がある。その他の、文献サーベイなどの作業はほぼ計画に沿って進んでいる。海外での調査は平成27年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の本年の研究計画としては、確定した分析アプローチに沿って、残る欧州における不動産投資企業の調査を行い、同様の分析成果を得る。それとともに、総括的な対象国の比較分析結果をまとめ、その法的・経済的諸制度並びに関連する会計ディスクロージャー制度の異質性と共通性についてカテゴライズを行っていく。その中で、前者に関しては、一般性を持つ異質性と単純に個別性の高い事項に分け、一般性を持つとするルールや慣習に対してそうであることの論理性を原則主義的基準としての機能性の観点から論じる。後者の同質性・共通性を有するものに関しては、ただ、統計的にメジャーであるという理由からではなく、投資意思決定情報としての有用性の視点からIFRSの会計概念フレームワークに即して合理性を持つかを検証する。
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Causes of Carryover |
テロ事件などの影響で、カナダと豪州での海外調査の遅れにより当該関連支出が繰り越しとなりました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に遅れた部分の海外調査等を実施する予定です。
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