2013 Fiscal Year Research-status Report
フランスの新しい会計基準機構のガバナンス体制と会計国家戦略の研究
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25380603
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小津 稚加子 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30214167)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 会計基準設定機関 / IFRSの影響 / ガバナンス体制 / フランス |
Research Abstract |
EUは2005 年に、上場企業の連結財務諸表にIFRS を適用したが、フランスの学界では、IASBの正統性に対する疑問や配分の原則を主張する見解が近年際だって強くなってきた。同じEU加盟国であるドイツやイギリスと比較してもフランスは公正価値測定の拡大に極めて慎重な考えをもっていることが判明した。こうしたことを踏まえ、フランス個別会計における社会性が強い会計システムとIFRS の利益観の浸透可能性を再調査することを通じて、基準設定主体内部の利害調整過程が複雑化を明らかにすることを目的としている。申請課題では、フランスの新しい会計基準機構(ANC)における、公正価値測定拡大と個別会計基準へのIFRS の影響にフォーカスし、基準設定主体内の保守化とガバナンス体制の変容を解明するという計画を立てた。初年度においては、戦後から今日に至るまでのフランスの会計基準設定機関の組織変化と新しい会計基準機構(ANC)の国際化対応とガバナンスを明らかにした。研究成果は日本会計研究学会(2013年9月、中部大学)において口頭報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに進めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス会計学会の論壇に顕在化した議論および、IFRS ならびに公正価値測定の拡張批判論以前に形成されたか、ほぼ並行して進んでいる会計基準設定主体内部の議論に焦点を当てる。2年度目、3年度目は、最終的には、フランスのエリートたちの考えがより大きな会計国家戦略の潮流のなかで、どのように紡がれているのか、またIFRS 対応の将来の方向性はいかなるものかを探る。そのために、フランス国内に内在する問題を様々な利害関係者の考えにもとづいて忠実に析出する。
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