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2013 Fiscal Year Research-status Report

わが国製造業における環境会計情報の総合的実証研究

Research Project

Project/Area Number 25380611
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionSaitama Gakuen University

Principal Investigator

吉田 雄司  埼玉学園大学, 経済経営学部, 教授 (00406612)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords環境会計情報 / 環境保全コスト / 環境投資 / 環境費用 / 医薬品産業 / 鉄鋼産業 / 自動車産業
Research Abstract

本研究の目的は過去10年間におけるわが国製造業7業種の環境会計情報を総合的に実証分析し環境会計の基盤を形成することである。2013年度は、鉄鋼産業4社(新日鐵、JFE、神戸製鋼、旧住友金属工業)と自動車産業6社(トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱自動車、富士重工業、スズキ)の2業種について行った。この2業種については「環境会計情報の分析」とその「統合フォーマット」作成までの資料蒐集ができた。また、2007年度から2011年度までの医薬品産業6社(武田薬品、大塚ホールディング、第一三共、アステラス、エーザイ、田辺三菱、中外製薬)についても環境会計情報の分析を実施できた。
研究成果として例えば、鉄鋼産業4社の01年度から11年度における環境投資額の平均値は約174億円、環境費用は約529億円であった。環境投資構成比率は公害防止コストと地球温暖化コストに約7割を支出し、環境費用では公害防止と資源循環コストで6割以上を占めていた。また自動車産業6社では同期で環境投資が約122億円、環境費用は約838億円で、環境投資構成比ではトヨタは地球環境保全に8割以上をまた環境費用では多くの企業が研究開発費に9割近くを支出していることが分かった。このように業種によって異なった環境保全コストで構成されていることが把握できた。
一方、当初の研究計画の対象業種外である医薬品産業6社について、過去5年の期間であるが「環境会計情報の分析」を実施し学術論文として公表した。筆者「わが国の環境会計情報の分析(5)-医薬品産業―」『埼玉学園大学紀要』経済経営学部篇、第13号、2013年12月、121-132頁。2013年度の研究成果は、過去10年以上の鉄鋼産業の環境会計情報を蒐集することができそれを「環境会計統合フォーマット」に整理できたことでその意義は大きい。今後はこれらをもとに他の業種への研究計画実行をする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2013年度の研究目標は、「環境会計統合フォーマット」の作成として電力、鉄鋼、自動車、非鉄金属であった。このうち鉄鋼4社と自動車6社については「フォーマット」作成が完了した。ただ、自動車産業のダイハツはトヨタの連結子会社であること、いすゞはバス・トラックの生産会社であることの理由からこれら2社は除外した。電力会社と非鉄金属会社は、資料蒐集(ダウンロード煩雑)と時間的制約のため未作業である。ただ今回は他業種として医薬品と機械、繊維産業でも環境会計情報の蒐集がかなり可能であることが分かった。特に医薬品産業では環境会計情報の分析を行い学術論文で公表できた。
本年度は分析手法として環境会計情報の定性情報と定量情報についてその分析結果を一覧表で開示する計画目標を立案していた。鉄鋼産業と自動車そして医薬品産業の3業種での一覧表を試みた。3業種の定性分析項目としては環境会計導入時期、対象期間、集計範囲、集計方法、環境会計の定義、第三者審査等が判明した。また定量項目は環境保全コストの経年推移の金額、その構成比率、事業規模別比較、環境効率、環境負荷集約度などを算出した。自己点検評価として2013年度の進捗状況は約5割程度の状況である。当初の計画では4業種27社を予定していたが、実際には鉄鋼4社、自動車6社、医薬品産業6社の合計16社の研究成果に留まっている。主な遅延理由は、バックナンバーなど環境会計情報の資料が必ずしもネット上からダウンロード(DL)できない状況にあったことや、DL作業にパソコンの能力不足がある。

Strategy for Future Research Activity

2014年度の研究課題は次の3点にある。第1に鉄鋼産業の研究成果について学会で報告する。第2に自動車産業6社の環境保全コストについてその分析結果等を論文形式にまとめる。第3に情報蒐集作業として非鉄金属業5社と電機機器7社について継続研究をする。第1の学会報告については、2014年9月4日~6日に主催する第73回日本会計研究学会の自由論題報告「日本の鉄鋼産業における環境保全コストに関する一考察」として実施する予定である(横浜国大)。第2の自動車産業の論文作成は既に環境保全コストの経年推移金額やその構成比率、事業規模別比較等のデータは作成済みのため論文にまとめる予定である。また「環境会計統合フォーマット」をエクセル形式で作成する予定にある。第3の情報蒐集は、非鉄金属産業として住友電工、三菱マテリアル、古河電工、DOWAホールディング、昭和電工の計5社の環境報告書等から環境保全コストの情報蒐集を行う。また電機機器産業では東芝、パナソニック、日立製作所、三菱電機、富士通、日本電気等から同様の情報蒐集を行う。研究対象業種の変更の可能性がある。2013年度の研究過程では当初の対象業種には挙げていなかった医薬品産業の環境会計情報の分析を行った。この体験から、他業種として機械産業(三菱重工、小松、ダイキン、ジェイテクト、クボタ)と繊維産業(東レ、日清紡、東洋紡、ユニチカ、グンゼ)が研究対象になる可能性がある。これらはどれも過去10年近い環境会計の情報開示を実施しており今回の研究対象の基礎資料として利用できる。
なお、各社の環境報告書の存在がネット上にあるためその蒐集作業が煩雑になる。このため蒐集可能な時点でパソコンのハードディスクに蓄積するようにする。また有価証券報告書の資料が必要であるが、バックナンバーについては株式会社プロネクサスのwebネット情報を期間限定利用することとした。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] わが国の環境会計情報の分析(5)-医薬品産業ー2013

    • Author(s)
      吉田雄司
    • Journal Title

      埼玉学園大学紀要 経済経営学部篇

      Volume: 13 Pages: 121-132

  • [Presentation] 日本の鉄鋼産業における環境保全コストに関する一考察2014

    • Author(s)
      吉田雄司
    • Organizer
      日本会計研究学会
    • Place of Presentation
      横浜国立大学
    • Year and Date
      20140904-20140906

URL: 

Published: 2015-05-28  

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