2013 Fiscal Year Research-status Report
25年後の戦友会のフィールドワーク:戦争体験の等身大の意味づけに関する実証的研究
Project/Area Number |
25380636
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
溝部 明男 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90127142)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 戦友会 / 戦争体験の意味づけ / 戦没兵士の処遇 / 台湾 / 「戦争の意味づけ」 |
Research Abstract |
1.隼鷹戦友会最後の会合(2005年)の記録ほかの資料整理。2.台湾における戦没兵士の処遇について、現地調査を行った。(1)「眷村」(台北市四四南村)には、国民党の兵器工場に勤めていた人たちが大陸から逃れてきて、そのまま、現在もまとまって生活している。とくに英雄として遇されているというよりも、現在では、当時の大陸の生活様式を保存しているところとして、半ば、観光地化している。(2)「忠烈祠」(台北市中山区)辛亥革命から抗日戦争まで、国民党に忠誠を捧げて戦士した人々をまつっている。戦死者の名前と写真が位牌のように並べられている。(3)「戦争興和平館紀念公園(台籍日本兵の記念館)」(高雄市)には、日本植民地時代に日本兵として戦死した台湾人の資料が展示されている。この公園が作られたきっかけ契機は、台湾政府に対する許昭榮の抗議の焼身自殺(2008年)であった。 中国本土の「微博(ツイッター)」を利用した調査によれば、国共内戦において、国民党の側で戦ったが、現在中国本土に住む老兵士は不遇である。彼らは戸籍がないので、生活の保護も受けられない。このような老兵士を助けるために、「関愛抗戦老兵網」というネット上の組織がある。 中国本土においては、中国共産党に所属して戦った戦没兵士は英雄として処遇されている。たとえば長沙には、高い塔があり、その中に戦没兵士がまつられている。 「顕彰型」のほかにも、戦没兵士の処遇にはいくつかのタイプがあり、戦時と現在の政治的支配者、戦いの勝敗、戦った土地と現在の居住地などの組み合わせが、どのような処遇になるかを規定している。 3.戦争の意味づけについては、たとえば龍應台(中国湖南省出身、現在台湾籍)は「国共内戦の敗戦によって、民主主義を手に入れた」と書いている。これは、敗戦をポジティヴに意味づけするタイプである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の溝部の諸事情により、外国出張が難しくなっている。国内の戦友会活動と比較するための海外調査が十分に行えているとは言い難い。しかし、その代り、東アジアにおける第2次大戦前後の戦没兵士がどのように扱われているか、また、オーヴァーオールなレヴェルにおける「戦争の意味づけ」がどのように表現されているか、についての研究は、研究協力者に助力してもらうことにより、海外の状況に関するデータを収集して遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
東アジアにおける戦没兵士がどのようにあつかわれているか、日中戦争、国共内戦、朝鮮戦争、太平洋戦争がどのように意味づけられているか、戦没者に関してどのような儀礼が制度化されているか、については、研究代表者自身が現地調査をするのではなく、研究協力者に調査を依頼し、彼らのもたらす情報に基づいて、比較を行うように、研究方法を変更する。韓国の状況については、あらたに、研究協力者を1名増やす予定である。 隼鷹戦友会の活動については、今後も引き続き、継続調査をするとともに、これまで収集した資料を整理する。 日本国内における戦没兵士および太平洋戦争の意味づけに関しては、主に、新聞記事を資料として、分析を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
健康上の理由および家庭の事情により、研究代表者が海外出張を行えなかったため、旅費の残額が多めに生じた。 研究協力者に出張依頼をして、情報収集を進める。韓国については、新たな研究協力者を依頼する。その他、研究代表者が金沢にいても入手できる資料を活用するよう努める。
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Research Products
(1 results)