2015 Fiscal Year Annual Research Report
小規模農民コミュニティーの形成と日本人移住地を連携した新しい貧困軽減手法の開発
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25380643
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
福井 千鶴 日本大学, 国際関係学部, 教授 (10328677)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 複合農法 / 農民コミュニティー / SAFTA / CAMTA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究成果により貧困農民を対象にした国において経済成長や開発プロジェクトに関係なく、小農民の農業生産高の向上に直接的に効果があり、農業生産を年間を通じて継続的にさせることにより収入が継続的となり、且つ、農業生産の拡大により所得の増大が着実にもたらすことのできる小農民向け貧困軽減手法の確立ができる見通しを得ることができた。 この手法の実施において、ブラジルのトメアス日本人移住者の開発したSAFTA(トメアス方式アグロフォレストリー)を小農民の農業生産に導入し、トメアスの日本人移住者(現在はCAMTAの農業指導))の指導の下に、農業生産を推進・拡大することにより生産高の向上が見られ、それにより小農民の所得が増大し確実に貧困から脱出できることが可能となった。この農法を学ぶには小規模の農民コミュニティーを形成し、指導に従って共同で学び相互扶助の下に推進することが、脱落者を防ぎ、効果的であることが判明した。 実際にこの手法を日本人移住者の指導の下に取り入れ成功した小農民が出てきて、子供を大学まで卒業させるようになった小農民や中古の自動車、オートバイを買い、銀行の融資を受けトラクターを購入する農民も出てきた。このトラクターを購入した農民は自分の名前すら書けない、読み書きのできない文盲である。この事例のように貧困層農民の多くは無学の者が多く、教科書や読み物では農法を理解することができない者が存在する。コミュニティー方式で試験農場を作り、日本人団体の指導者の下で体験しながら農法を学ぶことは、このような貧困層農民の所得向上には極めて有効な手段といえる。また、文盲などの教育が十分でない貧困層小農民を対象に実施する場合が多いので、そのような人々でも生産管理や販売管理ができる方法を実現する必要があり、今後の課題となった。
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